赤かび病抵抗性春まき小麦系統のデオキシニバレノール汚染とその防除の考え方


[要約]

[キーワード]

[担当]道立中央農試・生産環境部・病虫科
[代表連絡先]電話0123-89-2291
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]研究・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 「はるきらり」(抵抗性'中')に「蘇麦3号」('強')の3種の赤かび病抵抗性QTL(3BS、5AS、6BS)を導入した準同質遺伝子系統(「NIL」)は「はるきらり」に比べ発病穂率、発病小穂率が低く'やや強'の抵抗性を有し、赤かび粒率、DON濃度も同様に低い(表1)
  2. 一方、両者の赤かび粒のDON濃度はほぼ同等である(図1)ことから、発病穂率と発病小穂率が低く、赤かび粒率が低いことが「NIL」のDON汚染が「はるきらり」より低い主要な機作と考えられる。
  3. スプリンクラー散水と雨よけハウスを組み合わせた試験において、「NIL」の発病穂率、発病小穂率およびDON汚染に及ぼす影響は前半降雨処理の影響が大きく、後半降雨処理の影響は小さい(図2)。このことから、乳熟期以降(7月下旬以降)の降雨は発病とDON汚染に及ぼす影響は小さいと考えられ、抵抗性'やや強'品種に対する薬剤防除の重点は登熟前半に置くべきと考えられる。
  4. スプリンクラーによる出穂から収穫までの降雨処理条件において、「NIL」に対する開花始からの2回散布によるDON濃度は「はるきらり」の4回散布によるものとほぼ同等であり(図3)、また、人工接種によって激発し7月中旬以降に降雨の多かった2009年の自然降雨条件下においても、「NIL」では2回散布によって「はるきらり」の4回散布以下にDON汚染が抑制されたことから(図4)、抵抗性'やや強'品種に対する防除は開花始からの2回散布が適当と考えられ、現行の'中'品種に対する3回散布から1回削減可能と考えられる。
  5. 「蘇麦3号」並みの抵抗性'強'品種に対しては無散布あるいは1回散布でよい可能性がある(図4)

[成果の活用面・留意点]

  1. 「NIL」は、赤かび病抵抗性'中'品種に対する薬剤散布回数(3回)から1回削減してもDON汚染リスクの低い'やや強'の指標系統として活用できる。
  2. DON汚染を低減する抵抗性の機作と抵抗性向上による薬剤散布削減効果は抵抗性品種を育成する際の参考となる。
  3. 赤かび病抵抗性'やや強'の新品種に対する薬剤散布の方針として活用できる。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「赤かび病抵抗性春まき小麦系統のデオキシニバレノール汚染とその防除の考え方」(研究参考)

[具体的データ]

[その他]




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