ばれいしょの各種病原菌の切断刀伝染に対するマレイン酸の防除効果
[要約]
マレイン酸(100%)20倍液の瞬間〜5秒間の切断刀消毒は、切断刀伝染するばれいしょの主要病害(黒あし病、青枯病、輪腐病、ジャガイモXウイルス)に対して高い防除効果が認められる。
[キーワード]
切断刀消毒、マレイン酸、黒あし病、青枯病、輪腐病、ジャガイモXウイルス
[担当]道立中央農試・生産環境部、道立十勝農試・生産研究部、種苗管理セ・北海道中央
[代表連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
ばれいしょの種いも伝染性病害(細菌病;黒あし病、輪腐病および青枯病とウイルス病;ジャガイモXウイルス)の切断刀を介した伝染に対するマレイン酸の防除効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- マレイン酸(100%)の10倍および20倍液の瞬間または5秒間浸漬による切断刀消毒は、黒あし病に対して対照の中性次亜塩素酸カルシウム(70%)10倍液と比較してほぼ同等の防除効果がある。薬害は認められず、実用性は高い(表1)。
- マレイン酸(100%)の5倍、10倍および20倍液は、輪腐病と青枯病に対して、防除効果が期待できる(表2)。
- ジャガイモXウイルス(PVX)感染塊茎を汚染源とした場合、マレイン酸(100%)20 倍液の瞬間浸漬による切断刀消毒処理では、健全塊茎はPVXに感染せず、対照の中性次亜塩素酸カルシウム(70%)10倍液と比較して同等の防除効果がある(図1)。マレイン酸のPVXに対する不活化作用は、成分量により異なり、高濃度であるほど強い(表3)。
- マレイン酸(100%)20倍液の瞬間〜5秒間の切断刀消毒は、黒あし病、輪腐病、青枯病およびPVXに対して高い防除効果が認められる。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は、ばれいしょ生産場面における種いも切断刀消毒対策として活用する。
- ばれいしょの各病害防除対策は本成果と健全種いもの使用や他の防除対策とあわせ、総合的に実施する。
- 本資材は添付使用書に従い、適切に使用・処分する。
- マレイン酸の黒あし病菌に対する効果は平成20年度北海道農業試験会議指導参考事項(商品名:「マレクイックA」20倍液、瞬間〜5秒間、切断刀浸漬)である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょの各種病原菌の切断刀伝染に対するマレイン酸の防除効果」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:新農業資材実用化試験
予算区分:受託(民間)
研究期間:2008〜2009年
研究担当者:田中文夫(道立中央農試)、清水基滋(道立十勝農試)、不破秀明(種苗管理セ北海道中央)、児玉不二雄(北植防)、大上大輔(ホクレン農総研)、角一雄(出光興産(株))
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