ウレアホルムの窒素供給特性とブロッコリーおよびたまねぎにおける施用法
[要約]
ウレアホルムのU/F比毎の窒素供給は土壌や栽培期間が異なっても主に積算温度に律速され、ブロッコリーではU/F比3のものを施用窒素の40%配合することで分施の省略と増収、たまねぎではU/F比2のものを20%配合することで増収が期待できる。
[キーワード]
肥効調節型肥料、ウレアホルム、窒素供給特性、ブロッコリー、たまねぎ
[担当]道立中央農試・生産環境部・栽培環境科
[代表連絡先]電話0123-89-2581
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
ウレアホルムは、化学合成緩効性肥料の一種で、尿素(U)とホルムアルデヒド(F)の比率(U/F比)により無機化速度が変化し、U/F比が小さいほど緩効的である。このウレアホルムの畑地における窒素供給特性を明らかにするとともに、生育期間の短いブロッコリーとやや長いたまねぎ(中晩生品種)における効果的施用法を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 培養試験によるウレアホルム窒素の無機化率は積算温度にほぼ対応しており、両者の対応関係は、U/F比1.5のものが一次回帰式、同2、3が二次回帰式で表される(図1)。無機化率80%に達する積算温度は、U/F比3のもので1,810℃、同2、1.5ではU/F比3のそれぞれ1.4、1.8倍の温度を要する。
- 圃場埋設試験での窒素の溶出は、培養試験結果と同様に積算温度に主に律速され、両者の関係は、土壌や栽培期間が異なってもU/F比毎に一つの式で表すことができる(表1)。
- 生育期間が60日前後と短いブロッコリーでは、ウレアホルムを基肥施用することにより硫安の分施に対して初期生育が向上し、U/F比3のものを施用窒素の40%配合することにより、規格内収量が対照区より0〜8%(平均4%)増加する(表2)。
- ブロッコリーよりも生育期間が長いたまねぎ(中晩生品種)では、U/F比2のウレアホルムの施用効果が比較的高く(データ省略)、U/F比2を20%配合することで、L大規格の球数割合の増加、規格外などの減少により、4〜5%(平均4%)増収する(表3)。
- ウレアホルム配合による肥料費の増加は、増収による販売額の増加で補填できると試算される(データ省略)。
[成果の活用面・留意点]
- ブロッコリーおよびたまねぎ栽培における省力・効率的施肥法として活用できる。
- ウレアホルムの窒素供給特性は畑地における成果である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「化学合成緩効性肥料「ウレアホルム」の窒素供給特性とブロッコリーおよびたまねぎにおける施用法」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:ウレアホルム(UF)の畑地における窒素無機化特性と作物への適用性
予算区分:受託(民間)
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:小野寺政行
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