DNA抽出

 
 
  1. メニュー

  2. (1)原理と種類

  3. (2)準備

  4. (3)実際の手順

  5. (4)注意点


(1) 原理 と種類

DNAを植物から抽出する場合は、PCRなどの反応を阻害する多糖をのぞくことが重要となります。DNA比較的安定している物質なので、手袋等の使用は必要ありません。比較的簡単に抽出できますが、現在は、様々なキットが比較的安価に販売されており、慣れない方はキットの使用が便利です。


(2) 準備

様々なキットが市販されています。以下のものがお勧めです。

  1. 箇条書き項目 Phytopure

  2. 箇条書き項目 ISOPLANT, ISOPLANT II

  3. 箇条書き項目


その他の必要な試薬

  1. 箇条書き項目エタノール (ethanol)

  2. 箇条書き項目イソプロパノール (2-propanol)

  3. 箇条書き項目 0.1TE

  4.   Tris-HCl緩衝液 10 mM

  5.   EDTA                0.1 mM

  6. (通常のTEはEDTA濃度が高く、PCRを阻害する場合があるのでこちらを推奨します)


器具

  1. 箇条書き項目微量遠心機(可能なら冷却機能付)

  2. 箇条書き項目マイクロチューブ

  3. 箇条書き項目マイクロピペット(200μl〜1000μl用)

  4. 箇条書き項目マイクロチップ(20μl〜 200μl用)


(2) 実際の手順

ここでは、Nucleon PhytoPureによるDNAの抽出を紹介します。

RNA抽出はこちらに解説しています。)

  1. 5.試料0.1〜0.2gにReagent I を600 μlで磨砕する(堅い試料の場合は、液体窒素を使うか、乳鉢ごと-80℃で凍らせてから磨砕すると良い)

  2. 6.Reagent IIを200 μl加えて、65℃ 5min処理

  3. 7.Phytopure樹脂 100 μl (固まっているのでよく混ぜてから使う)とクロロホルム 500 μlを添加

  4. 8.遠心分離 (15,000 rpm, 5min)

  5. 9.上層の水層を新しいチューブに入れる

  6. 10.等量のイソプロパノール(2-propanol)を入れ、よく混合する

  7. 11.遠心分離 (15,000 rpm, 15 min)

  8. (注) マニュアル等には室温で10分間置いてから、遠心分離を行うように書いてありますが、遠心分離の時間を15分間にすれば不要となります。

  9. 12.水層を捨てて、70%エタノールを100μl加える

  10. 13.エタノールを捨てて、風乾する

  11. 14.0.1TEに溶解する


  12. 抽出したDNAを使って、PCRを行う場合はこちらへ


(4) 注意点&FAQ

  1. 箇条書き項目沈殿が見えない!

  2. 箇条書き項目エタノール沈殿を行った場合、純度が高い試料ではDNAはほぼ透明になります。

  3. 箇条書き項目虫体1頭からDNAを抽出する場合 など、DNA量が非常に少ない場合、沈殿を得ることが難しくなります。このままでは損失が大きいので、エタノール沈殿(上の手順では9)の際にグリコーゲンを1μl加えてください。


  4. 箇条書き項目沈殿が溶けない!

  5. 箇条書き項目多量の多糖が残っている場合、沈殿が溶けにくくなります。室温で1〜2時間放置すれば溶けやすくなりますが、それでも溶けない場合は無視してかまいません。


  6. 箇条書き項目DNAの濃度推定

  7. 箇条書き項目分光光度計を用いて波長260nmの吸光度を測定することで、以下の式よりDNA濃度を推定できます。最近の機械は自動的に濃度を計算してくれます。

  8. DNA濃度(μg/μl)=50×A260(260nm 吸光度)

  9. 箇条書き項目あくまでも目安なので、不純物(多糖など)が多い場合は誤差が大きくなります。