Reverse Transcription-PCR
(RT-PCR)

Reverse Transcription-PCR
(RT-PCR)
メニュー
(1)原理と種類
(2)準備
(3)実際の手順
(4)注意点
(1) 原理 と種類
逆転写酵素(reverse transcriptase)によりRNAからcDNAを合成してから(RT)、PCRを行います。RTとPCRを別のチューブ(または反応液)で行う場合がありますが、最近は一つのチューブと反応液で連続して行えるone step系が主流となっています。
(2) 準備(RNAの抽出はこちらをご覧ください)
機械(基本的にPCRと同じです)
試薬
上述のようにRT-PCRでは、RTとPCRを別々に行うtwo stepと連続して行うone stepの試薬があります。もちろん、逆転写酵素が単独で売っている場合もありますので、お気に入りのPCRキットと組み合わせることも可能です。
ウイルス検出には、簡単でコンタミネーションの危険性が少ないone stepのキットをお勧めします。
お勧めのキット
これらのキットは全てone stepですが、反応試薬が単純(混ぜる数が少ない)のと、比較的増幅がよい(感度が高くなる)のでお勧めです。ちなみに、Reverse-iTTM One-Step Kit ( ABgene® )という製品は、試薬の本数が少なく、one stepで、さらに電気泳動用ローディングダイまでバッファーに入っているという優れものだったのですが、販売終了となってしまいました。
プライマー
使用するプライマーについてはPCRと同じです。RNAだからといって、RNAのオリゴを用意する必要はありません。もちろん、検出するウイルスに特異的な物を準備する必要があります。
検出したいウイルスの特異的な配列は以下の方法で得ることが出来ます(PCRの項も参照)。
(A)ホームページ、文献等から探す
(B)経験者に教えてもらう
(C)塩基配列から設計する
塩基配列からプライマーを設計する方法の解説はこちら(近日公開)
器具
微量遠心機(可能なら冷却機能付)
マイクロチップ(20μl〜 200μl用)
PCRチューブ
(3) 実際の手順(基本的に混ぜるだけです)
1.試薬とプライマーを反応数+1倍して、チューブに混合する(試薬の組成に関しては、キットにより様々ですので、マニュアルに従ってください)
2. PCRチューブに分注する
3.RNAを加え、軽く遠心して試薬を落とす。(注意)RNAは非常に不安定なため、出来るだけ他の試薬を準備してから、溶解または融解してください。
4.やさしく混合して、再度遠心して試薬を落とす。
5.装置にチューブをセットして、スタートする(通常、RT-PCRではホットスタートは必要ありません)
電気泳動による確認へ(作成中)
(4) 注意点
反応条件について
RT-PCRの反応はPCRを参考にしてください。ただし、逆転写酵素は各社が改良を進めており、徐々に反応温度が高くなっています。逆転写反応(RT)の温度はキットにより様々ですので、必ず確認してください。60〜65℃で反応する特殊な酵素を使う場合以外は、反応温度の上限で反応を行って大丈夫です。
ただし、逆転写反応に8〜12merのランダムプライマーを用いる場合は、25〜37℃で5分間の反応を行った後、逆転写反応を行った方がよい場合があります。
キットの違いによる反応の違いについて
あくまで経験に基づく私感ですが、PCRはどのメーカーのキットを使用してもそれ程差がないのに対し、RT-PCRはメーカーによる感度の高低や非得意反応の有無が大きいように思われます。もちろん、同じメーカーでも製品によって変わります。評判がよいと聞いて試したあるメーカーのキットは全くダメだった経験があります。増幅するターゲットやRNAの精製方によって変わる可能性がありますので、ここでは、各製品の優劣は述べません。
これからRT-PCRによる検定を導入される方や、すでに導入されている方も一度は複数のキットを試して、自分の求めている条件に合う製品を決めることをお勧めします。また、次々と新製品が出る分野ですので、情報のチェックもお忘れなく。
(特徴的な製品はそのうち小道具で取り上げます)