早生、良食味の水稲新品種候補系統「ちくし46号」
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[要約]
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水稲新品種「ちくし46号」は、成熟期が「日本晴」と同じ“早生”である。食味は「ヒノヒカリ」より優れる。炊飯米の光沢が優れ、味が良く、粘りが強い。梅雨明け後の食味低下も少ない。収量性や玄米品質は「日本晴」と同程度である。
- [キーワード]
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新品種、水稲、粘り、良食味、早生、ちくし46号
- [担当]
- 福岡県農総試・農産研究所・育種部・水稲育種研究室
[連絡先]092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- 本県の良質米安定生産にとって、水稲の熟期別品種構成の適正化を図ることが重要であり、早生品種は不可欠である。これまで早生品種として「日本晴」が普及、奨励されてきたが、食味評価が低くなり、平成10年3月に奨励品種から除外された。このため、これにかわる極良食味の早生品種の育成が強く要望されてきた。そこで、早生で、極良食味の栽培特性が優れた品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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1992年に「ちくし6号(後の夢つくし)」を母、「中部88号」を父として交配した組合せから育成した。特性は以下のとおりである。
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出穂期、成熟期はともに「日本晴」と同程度で、「ヒノヒカリ」よりそれぞれ7日、10日程度早い(表1)。
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稈長と穂長は「日本晴」よりやや短く、穂数は同程度である(表1)。
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耐倒伏性及び穂発芽性はともに“中”で、「日本晴」よりやや優れる(表1)。
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いもち病及び白葉枯病圃場抵抗性は「ヒノヒカリ」と同程度の“やや弱”で、「日本晴」よりやや弱い(表1)。
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収量性は「日本晴」と同程度で、玄米千粒重はやや軽い(表1)。
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心白米の発生は「日本晴」よりやや多く、腹白米の発生はやや少ない。玄米品質は同程度である(表1)。
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アミロース含有率は「ヒノヒカリ」より1〜2%程度低く、タンパク質含有率は同程度である。テクスチャー値はやや小さく、粘弾性が優れる(表2)。
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食味は「ヒノヒカリ」より優れる。炊飯米の光沢が優れ、味が良く、粘りが強い。梅雨明け後の食味低下が少なく、年間を通して安定している(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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早生の良食味品種として、平坦地から山ろく地に適する。
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いもち病にやや弱いので、適期防除に留意する。
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早植は心白米の発生等、品質低下の原因となるので避ける。
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[具体的データ]
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表1 一般特性

表2 理化学的特性

表3 「ちくし46号」の食味評価
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[その他]
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研究課題名:早生〜中晩生の良食味安定多収品種の育成
予算区分 :経常
研究期間 :1992〜2001年度
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