水田輪作体系におけるスクミリンゴガイの耕種的防除技術
-
[要約]
- 水稲-露地野菜体系で9月までにキャベツ作付けすると、前作水稲の落水時期が早く、その後の増殖が制御され、越冬個体が減少しスクミリンゴガイの発生密度が水稲被害軽減水準である1頭/m2以下になる。
- [キーワード]
- 水稲輪作体系、スクミリンゴガイ、キャベツ、落水時期、耕種的防除
- [担当]
- 福岡県農業総合試験場・農産研究所・栽培部・作物栽培研究室
[連絡先]092-924-2848
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
水稲点播直播栽培の普及拡大を図るためには、スクミリンゴガイの被害軽減技術の開発が必須条件でかつ急務となっている。そこで、現地での水田輪作体系における前作物がスクミリンゴガイの発生に及ぼす影響を解明しスクミリンゴガイの耕種的防除技術を確立する。
-
[成果の内容・特徴]
-
- 前作によって後作水稲でのスクミリンゴガイの発生密度が異なり、キャベツ後に水稲を作付けするとスクミリンゴガイの発生が水稲被害軽減水準の1頭/m2以下となり、実害がない(表1、図1)。
-
キャベツ定植ほ場の後作水稲でのスクミリンゴガイの発生密度は、キャベツ定植時期の違いにより大きく異なり、9月定植ほ場では水稲被害許容水準以下で、11月定植ほ場では許容水準より多くなる(表2)。
- 9月定植キャベツ後水稲でのスクミリンゴガイの発生密度の推移は、6月下旬では0.45頭/m2であるが、その後孵化個体が増殖し、8月下旬には3.9頭/m2、9月下旬になると第2世代の稚貝が著しく多くなる。このことからキャベツの定植時期による発生密度の差は、落水時期が早く休眠に入りその後の貝の増殖が制御されたことに起因すると考えられる(図2)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
水稲直播栽培におけるスクミリンゴガイの耕種的防除技術として活用できる。
-
[具体的データ]
-

図1 現地でのスクミリンゴガイの発生状況

図2 スクミリンゴガイの発生密度の推移

表1 作付体系とスクミリンゴガイの発生密度

表2 前年作のキャベツ定植時期とスクミリンゴガイの発生密度との関係
-
[その他]
-
研究課題名:水稲点播直播と露地野菜の複合経営における水田の省力的高度利用技術の確立
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :2001年度
目次へ戻る