水稲湛水土中点播直播の出芽・苗立の安定化技術
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[要約]
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水稲湛水土中点播直播では、田面が7割程度隠れる状態で荒代かきを行った後、代かき同時播種を行う。打込み速度は埴壌土、黒ボク土で8m/秒、壌土で8〜10m/秒とし、播種後8日間(出芽期〜出芽揃期)程度落水管理することで出芽苗立が安定する。
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- 水稲、湛水土中点播直播、落水、代かき、苗立
- [担当]
- 大分農技セ・水田利用部
[連絡先]0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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水稲湛水土中点播直播は水稲生産の低コスト化を図る新技術として期待されている。しかし代かき時に種子を土中へ打込むことから、苗立は土壌や代かき水量の影響を受ける。このため出芽苗立の安定化を図るための技術を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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荒代かきと同時に播種を行うと漏水が著しいため、播種時を含め代かきは2回行う。荒代かきの水量を土塊の表面が7割程度隠れる状態にすることにより出芽苗立は安定する(図1)。
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打込み速度が遅いと出芽深度が浅く、速度が早いと深くなり苗立率が低下するため、埴壌土、黒ボク土では8m/秒、壌土では8〜10m/秒が適当である。(図2)。
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落水期間が長いほど苗立率は向上する。しかし落水期間が長いと漏水が著しくなるので8日間程度(出芽期または出芽揃期まで)行う。その際の苗立率は70%程度である(図3)。
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苗立数が、60〜80本/平方メートルのとき、55〜60kg/aの収量を確保できる。その際の播種量は苗立率との関係から乾籾2.7kg/10aである(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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平坦地のヒノヒカリに適用する。
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代かきは播種当日を原則とするが、漏水等が危惧される圃場では予め代かきを行い、漏水防止に努める。
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土壌の硬軟によって打込み速度を調整し、出芽深度を確保する。
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播種後落水期間中に乾燥状態が続くと入水後に漏水が発生することがあるので、田面にヒビが入った際は走水を行う。
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[具体的データ]
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図1 荒代かき時水量及び代かき回数と苗立数率

図2 土壌別打込み速度と苗立率

図3 播種後の水管理と苗立数

図4 点播直播における苗立数と収量
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[その他]
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研究課題名:中山間地域における代かき同時点播直播を基幹とした低コスト稲作技術の確立
予算区分 :地域基幹研究
研究期間 :1997〜2001年度
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