水稲湛水土中点播直播の中山間地域における安定栽培法
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[要約]
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中山間地域における水稲湛水土中点播直播では、播種量を3.5〜4kg/10aとすることで、稚苗移植に近い収量を確保するために必要な苗立数、穂数を確保できる。苗立数不足時には、分げつ肥を施用するか穂肥の時期を従来の施肥時期より10日程度早めることで、減収程度が小さくなる。
- [キーワード]
- 水稲、湛水土中点播直播、中山間地、播種量、苗立数、穂数
- [担当]
- 大分農技セ・久住試験地
[連絡先]0974-76-0033
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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水稲湛水土中点播直播は、省力的な稲作技術として有望で中山間地においても導入が期待されている。しかし、中山間地における直播栽培では、播種期の地温が低いため苗立数が不足しやすく、収量も不安定である。そこで、稚苗移植並の収量を確保するために必要な播種量、苗立数、施肥法を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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中山間地域における水稲点播直播では、ひとめぼれ、はえぬき、こいごころ等の品種において、穂数を400本/平方メートル以上確保することで、稚苗移植の90%以上の収量を安定的に確保できる(図1)。また、このときの収量は60kg/a以上が期待できる(図1)。
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穂数を安定的に400本/平方メートル以上確保するためには、60本/平方メートル以上の苗立数が必要である(図2)。
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60〜80本/平方メートル程度の苗立数を確保するための播種量は3.5〜4kg/10aである(図3)。
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ひとめぼれでは、苗立数が40〜50本/平方メートル程度と不十分な場合には、分げつ肥を施用するか、穂肥の時期を従来の追肥時期より10日程度早くすることで減収程度が小さくなる(表1)。
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点播直播では稈長が移植より短いため、ひとめぼれを用いても倒伏は少ない(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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標高300〜600mの中山間地域に適用できる。
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[具体的データ]
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図1 土中点播直播水稲における穂数と対移植収量比の関係

図2 土中点播直播水稲における苗立数と穂数の関係

図3 土中点播直播水稲における播種量と苗立数の関係

表1 ひとめぼれにおける点播直播の施肥法と生育・収量
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[その他]
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研究課題名:中山間地域における代かき同時点播直播を基幹とした低コスト稲作技術の開発
予算区分 :地域基幹研究
研究期間 :1997〜2001年
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