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中山間地域の水稲湛水土中点播直播における緩効性肥料の施用法


[要約]
中山間地域のシグモイド型緩効性肥料を用いた点播直播の全量基肥栽培では、ひとめぼれ級熟期品種には80日タイプ、こいごころ級熟期品種には100日タイプが適する。速効性肥料を30%、緩効性肥料を70%とすることで稚苗移植並の収量、品質、食味が得られる。

[キーワード]
水稲、湛水土中点播直播、中山間地、シグモイド型緩効性肥料

[担当]
大分農技セ・久住試験地

 [連絡先]0974-76-0033
 [区分]九州沖縄農業・水田作
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
水稲湛水土中点播直播は省力的な水稲栽培技術として有望であるが、さらなる省力化技術として緩効性肥料を用いた全量基肥栽培技術が考えられる。しかし、中山間地域では播種期の地温・水温が低いため、窒素溶出パターンが平坦地と異なることが考えられる。そこで、中山間地域における緩効性肥料の窒素溶出パターンと、稚苗移植並の収量を得るための施肥法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. シグモイド型緩効性肥料を中山間地域で施用した場合、地温が低いため窒素溶出が遅く、累積窒素溶出率が80%となる日数は、80日タイプでは100〜120日、100日タイプでは100〜150日で年次による変動が大きく、120日タイプでは180日程度である(図1図2図3)。

  2. シグモイド型緩効性肥料を水稲に適用する場合には、出穂期までに80%程度の窒素が溶出し、かつ窒素溶出のピークが出穂前20日前後にあることが必要とされるため、窒素溶出のパターンからひとめぼれ級熟期品種には80日タイプ、こいごころ級熟期品種には100日タイプが適合する(図1図2図3)。

  3. こいごころを用いた全量基肥栽培では、速効性窒素肥料を30%、シグモイド型緩効性肥料を70%の穂肥重視型の施用をすることで稚苗移植並の収量を確保できる。検査等級、玄米蛋白含有率は稚苗移植並で、品質、食味は低下しない(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 標高300〜600mの中山間地域に適用できる。

  2. リン酸、カリ肥料については、必要量を単肥で別途基肥として施用するか、あらかじめ窒素肥料と必要量を配合して施用する。

[具体的データ]

図1 S80日タイプの窒素溶出


図2 S100日タイプの窒素溶出


図3 S120日タイプの窒素溶出


表1 シグモイド型100日タイプ肥料の施肥法と生育、収量及び食味

[その他]
研究課題名:中山間地域における代かき同時点播直播を基幹とした低コスト稲作技術の開発
予算区分 :地域基幹研究
研究期間 :1997〜2001年

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