ホールクロップサイレージ用イネの収穫適期
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[要約]
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ホールクロップサイレージ用イネの収穫は糊熟期以降が良く、黄熟期が最も優れる。この時期は水分が65〜60%程度まで低下し、予乾無しで良質サイレージの調製が可能である。また、黄熟期はTDN収量が最も高く、a当たり80〜90kg程度が得られる。
- [キーワード]
- 飼料イネ、収穫適期、ホールクロップサイレージ、水分、TDN
- [担当]
- 大分農技セ・久住試験地
[連絡先]0974-76-0033
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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米の生産調整において水田の多様な利活用が求められており、その一つとして飼料イネのホールクロップサイレージ(WCS)が導入されつつある。また、その収穫適期は黄熟期とされているが、明確でなく食用品種や1品種での検討がほとんどである。そこで、WCS用とされる飼料イネ品種系統の収穫適期を良質サイレージ調製のための水分及び乾物収量、TDN収量の面から明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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稲体の水分は糊熟期、すなわち登熟積算平均気温(以下、積算気温と記す)が約摂氏600度以降の好天時であれば、良質なホールクロップサイレージの調製に必要な65〜60%程度まで低下し、予乾無しで調製が可能である(表1)。
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各品種系統とも乾物収量は収穫時期が遅いほど多くなり、黄熟期(積算気温約摂氏850度)ではa当たり150〜190kgが得られる(表1)。
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TDNは供試した品種系統間に差は無く、穂ばらみ期(出穂期前約8日)から黄熟期では、穂ばらみ期が55%程度と最も高く、穂揃い期(積算気温約摂氏100度)は45%程度と最も低い。糊熟期と黄熟期は同程度で50%程度である(表2、表3、図1)。
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TDN収量は穂ばらみ期と穂揃い期は同程度で少なく、糊熟期、黄熟期と多くなり、黄熟期ではa当たり80〜90kg程度が得られる(表2、表3、図1)。
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良質で栄養収量の多いホールクロップサイレージを得るには、糊熟期から黄熟期の間に天候を見はからって収穫するのが良い。
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[成果の活用面・留意点]
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ホールクロップサイレージ用イネの生産マニュアルに利用する。
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予乾無しで調製する場合は、好天時の露等の無いときに収穫する。
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糊熟期は出穂後登熟積算平均気温で摂氏600度、同様に黄熟期は摂氏850度とした。
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[具体的データ]
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表1 収穫時期別の水分及び乾物収量

表2 収穫時期別TDN含量及びTDN収量

表3 現地における収穫時期別の収量

図1 収穫時期別のTDN含量とTDN収量
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[その他]
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研究課題名:中山間地域における飼料イネの栽培・利用技術の確立
予算区分 :新技術実用化型
研究期間 :2000〜2001年度
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