イタリアンライグラス連作後の点播直播栽培における「ヒノヒカリ」の施肥法
-
[要約]
-
イタリアンライグラス連作後における「ヒノヒカリ」の打込み式湛水土中点播直播栽培においては、慣行分施体系の中間追肥を省略する必要がある。また、肥効調節型肥料を用いることで30%の減肥と施肥作業の省力化が図れる。
- [キーワード]
- 水稲、点播直播、ヒノヒカリ、施肥法、肥効調節型肥料
- [担当]
- 鹿児島県農業試験場・作物部
[連絡先]099-268-3231
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
イタリアンライグラス後作の水稲栽培においては、すき込んだイタリアンライグラスに由来する肥料分が水稲の生育に倒伏等の影響を及ぼす。このため畜産地帯でもある南九州において良食味品種「ヒノヒカリ」の直播栽培を導入する際の大きな課題となっている。そこでイタリアンライグラスすき込み後における「ヒノヒカリ」点播直播栽培の施肥法を確立する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
イタリアンライグラス残さのすき込み窒素含有量は10a当たり5.5kg程度で、部位別では茎基部に比べ根部が大きい(表1)。
- イタリアンライグラス連作3年目の「ヒノヒカリ」点播直播栽培では、収穫残さからの養分供給により茎数及び全籾数の確保が可能であるため、直播栽培における慣行分施体系の中間追肥を省略する必要がある(表2)。
- イタリアンライグラス連作3年目の「ヒノヒカリ」点播直播栽培では、肥効調節型肥料を用いることで、慣行分施体系に比べ30%減肥しても同程度の収量・品質が得られる。このことから、全量基肥施用による施肥作業の省力化が図れる(表3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
「ヒノヒカリ」の打込み式湛水土中点播直播栽培の普及指導資料として活用する。
-
イタリアンライグラスの品種は「ワセユタカ」で、イタリアンライグラス+普通期水稲輪作での試験結果である。
-
水稲播種までには、イタリアンライグラスすき込みから1週間以上の期間を確保し、播種後は、落水出芽を行う。
-
[具体的データ]
-

表1 イタリアンライグラス収穫残さ部位別のすき込み量(1999〜2001年の平均値)

表2 イタリアンライグラス連作ほ場におけるヒノヒカリ点播直播の施肥法と生育、収量及び品質

表3 イタリアンライグラス連作3年目のほ場におけるヒノヒカリ点播直播の肥効調節型肥料の施肥法と生育、収量及び品質(2001年)
-
[その他]
-
研究課題名:シラス水田における飼料作物跡への水稲点播直播導入技術の確立
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :1999〜2001年度
目次へ戻る