小麦「イワイノダイチ」の早播栽培における施肥法
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[要約]
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小麦「イワイノダイチ」の早播栽培(11月上旬播)における窒素施肥量(窒素成分/10a)は、基肥5kg、第1回追肥4kg、第2回追肥2kgとする。第2回追肥(穂肥)の施用時期は収量性からみて出穂前35〜15日頃とする。
- [キーワード]
- イワイノダイチ、小麦、収量性、施肥時期、施肥量、早播栽培
- [担当]
- 福岡農総試・豊前分場・普通作物野菜研究室、筑後分場・水田高度利用研究室
[連絡先]0930-23-0163、0944-32-1029
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- 早生小麦品種「イワイノダイチ」は秋播性程度が高く、11月上旬から播種できる品種として期待されている。しかし、早播した場合の高品質安定生産のための窒素施肥法は明らかではない。そこで「イワイノダイチ」を早播した場合の、施肥量や第2回追肥施用時期が生育、収量や小麦粉色などの製粉性に与える影響を検討し、早播栽培に適する施肥法を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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窒素施肥量(窒素成分/10a)は収量性、粗タンパク質含有率からみて、基肥5kg+第1回追肥4kg+第2回追肥2kgが適する。基肥量を2〜3kg減肥したり、第1回追肥量を2kg減肥すると収量性が劣る。第1回追肥量を減肥すると、粗タンパク質含有率は低下する傾向にある。製粉歩留や粉の明るさの差は小さい(表1、表2)。
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第2回追肥(穂肥)を慣行より遅く出穂前35〜15日頃に施用すると収量性が向上する。その増収効果は多雨年(1、2月の降水量が平年比224、159の平成9、12年)において高い。なお、この時期の窒素施用による成熟期の遅れや検査等級、粉の明るさに対する悪影響はない(表2、表3、一部データ略)。
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[成果の活用面・留意点]
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「イワイノダイチ」を早播栽培する場合の栽培技術指針として適用できる。
- 早播栽培では、耐倒伏性や収量、品質面から苗立数は50〜100本/m2の薄播きとする。特に肥沃地では、過剰な施肥は控える。
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[具体的データ]
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表1 施肥法と収量、品質および製粉性(豊前分場、平成10〜12年)

表2 施肥法と生育、収量および品質(筑後分場、平成11、12年)

表3 2追施用時期と生育、収量および品質(豊前分場、平成10〜12年)
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[その他]
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研究課題名:小麦の作期早進化による高品質生産技術の確立
予算区分 :21世紀プロジェクト
研究期間 :1997〜2000年度
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