中山間地域における良食味米安定生産のための有機配合肥料を用いた施肥法
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[要約]
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中山間地域の水稲栽培(ヒノヒカリ)において、有機配合肥料を基肥0.4(Nkg/a)、穂肥0.2(Nkg/a)施用すれば、安定した収量を確保し、玄米タンパク含有率を抑えられる。
- [キーワード]
- 有機配合肥料、タンパク含有率、ヒノヒカリ
- [担当]
- 熊本農研セ・農産園芸研・作物部・矢部試験地
[連絡先]0967-72-0162
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 中山間地域では付加価値の高い水稲栽培方法として無農薬栽培、有機栽培等の取り組みがなされているが、収量の確保に加え、消費者から高い食味レベルが求められている。このため、有機栽培等における良食味米の生産を行うための明確な施肥基準を設定する必要があることから、有機配合肥料を用いた栽培で、施肥量の相違が水稲の生育、玄米タンパク含有率に及ぼす影響を明らかにし、良食味と安定した収量を維持できる適切な施肥法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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- 有機配合肥料を基肥として0.4Nkg/a及び穂肥として0.2Nkg/aを施用すると、穂数やm2当り籾数が確保され、標準施肥とほぼ同じ収量が得られる(表1)。
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有機配合肥料を基肥及び穂肥として施用すると、同量の窒素施用量(0.6Nkg/a)の場合では標準施肥をやや下回る玄米タンパク含有率となる(図1)。
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基肥を増施(0.6Nkg/a)すると、最高茎数が増加し、わら重も大きくなるが、倒伏を助長し、登熟歩合が低下する(表1)。
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基肥に有機配合肥料を施用すると、有機物の分解(70%)に8週間程度かかり、標準施肥より最高茎数が少なくなる(表1、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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有機配合肥料を用いた県内の水稲栽培(ヒノヒカリ)における良食味米生産技術指導資料とする。
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有機配合肥料は分解にやや時間がかかるため、化成肥料を用いる場合より早めに施用する。
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収量(玄米重)については、無肥料で630kg/aとれる水田における結果であることに留意する。
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[具体的データ]
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表1 有機配合肥料の施肥法と生育・収量(2000〜2001)

図1 玄米タンパク質含有率

図2 地温と肥料分解(2000/6/6埋込)
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[その他]
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研究課題名:良食味米安定生産のための適正な栽培・肥培管理技術の確立(有機質肥料を利用した安定生産技術)
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2001年度
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