小麦「イワイノダイチ」における播種時期別の生育特性と収量・品質
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[要約]
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秋播型早生小麦「イワイノダイチ」において早播(11月上旬播)は標準播(11月下旬播)に比べて、成熟期は約5日早くなり、5月中の収穫が可能である。また、早播での幼穂凍死は少ないが、花粉不稔が多い。早播においても耐倒伏性が優れ、標準播より収量は低いが、外観品質は安定している。
- [キーワード]
- イワイノダイチ、小麦、播種時期、早播、幼穂凍死、花粉不稔
- [担当]
- 福岡農総試・農産研究所・栽培部・作物品種研究室
[連絡先]092-924-2848
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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小麦の作付面積の拡大ならびに収穫期の雨害を回避する技術として早播が注目されている。そこで、小麦の早播における良質安定生産技術を確立するため、早播適応性の高い秋播型早生小麦「イワイノダイチ」の播種時期別の生育、収量および品質を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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イワイノダイチの播種時期別の生育特性は以下のとおりである。
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標準播種期(11月下旬播)に比べて、早播(11月上旬播、以下同じ)は成熟期で約5日早くなり、5月中の収穫が可能であり、雨害回避による品質の安定化に有効である。(表1)。
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早播は標準播よりやや低収となる。極端な早播(10月下旬播)では収量および外観品質が著しく低下する(表1)。
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早播においても耐倒伏性が優れ、検査等級が安定して1等格付であり、良質である(表1)。
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幼穂の分化程度は早いが、幼穂凍死に深く関わる節間長の伸びが遅いために、幼穂凍死は少ない。早播では花粉不稔が多いため、低収となる(表1、図1)。
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遅播において、出穂・成熟期はチクゴイズミよりも1日早く、収量の低下は少なく、検査等級は1等格付けで良質である(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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イワイノダイチの早播における良質安定栽培技術改善の基礎的資料として活用できる。
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本試験は中粗粒灰色低地土における結果である。
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作期、品種、栽培地にかかわらず窒素施用量(N成分kg/10a)は5+4+2である。
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[具体的データ]
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表1 播種期と生育、収量および品質の関係

図1 品種別の幼穂長と節間長の時期的推移(1997年)
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[その他]
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研究課題名:小麦の作期早進化による高品質生産技術
予算区分 :21世紀プロ[I]系
研究期間 :1996〜1999年度
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