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小麦「イワイノダイチ」における粉の色相の変動要因


[要約]
「イワイノダイチ」の粉の色相は登熟後期の気象により大きく影響され、最高気温が高く、降水量が少ないほど優れる。粉の色相は容積重が重いほど優れ、適期刈取の励行、穂揃期追肥により向上する。

[キーワード]
イワイノダイチ、気象、粉、小麦、色相、容積重

[担当]
福岡農総試・農産研究所・栽培部・作物品種研究室

 [連絡先]092-924-2848
 [区分]九州沖縄農業・水田作
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
秋播型小麦品種「イワイノダイチ」は、11月上旬の早播において、安定した外観品質ならびに製粉性を示し、早播適応性が高いと有望視されている。しかし、二次加工において重要視される粉の色についての評価は年次や播種時期により変動が大きい。そこで、「イワイノダイチ」の高品質生産技術の確立を図るため、粉の色相の変動要因ならびに改善法を解明する。

[成果の内容・特徴]
  1. 粉の色相は生産年次により大きく変動し、播種時期別では極端な早播(10月25日播)は粉の色相が劣る(図1)。

  2. 粉の色相は、登熟後期(成熟期15日前から成熟期までの期間)の気象により大きく影響され、最高気温が高く、降水量が少ないほど優れる(表1)。

  3. 粉の色相は、倒伏程度が小さく、千粒重、容積重が重く、検査等級が優れるほど良好である。中でも容積重は粉の色相との間に高い負の相関関係が認められ、粉の色相を客観的に評価する指標の農業形質として有効である。製粉特性においては、タンパク質含有率が低く、最高粘度が高いものほど粉の色相は優れる(表2)。

  4. 刈取適期には異なる播種時期による差はなく、開花後45日に刈取されたものが最も容積重および粉の色相が優れ、早刈りや遅刈りで劣る(表3)。

  5. 穂揃期の追肥により容積重が重くなり、粉の色相が向上する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「イワイノダイチ」の製粉性改善のための基礎的資料として活用できる。

[具体的データ]

図1 生産年次別、播種時期別における粉の色相


表1 登熟期別の粉の色相と気象との相関(1997〜2000年)


表2 粉の色相と農業形質および製粉特性の相関(1997〜2000年)


表3 刈取時期別、施肥方法別における容積重および粉の色相(2000年)

[その他]
研究課題名:小麦の作期早進化による高品質生産技術
予算区分 :21世紀プロI系
研究期間 :1998〜2000年度

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