ビール大麦における登熟後期の散水処理による凸腹粒抵抗性検定法
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[要約]
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ビール大麦の登熟後期に人工的に1日当たり50mmの雨量に相当する散水処理を連続2日間断続的に行う方法により、凸腹粒抵抗性の検定が可能である。
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- ビール大麦、登熟後期、散水処理、凸腹粒抵抗性
- [担当]
- 福岡県農業総合試験場・二条大麦育種指定試験地
[連絡先]092-924-2937
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]科学・普及
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[背景・ねらい]
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ビール大麦の外観品質及び醸造品質を著しく低下させる凸腹粒の発生は、登熟期の気象条件に影響され、自然条件下では発生程度の変動が大きいため、その抵抗性選抜は不安定となっている。そこで、抵抗性系統の選抜が可能な凸腹粒検定法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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ビール大麦の登熟後期(成熟期前15日以降)に1日当たり50mmの雨量に相当する散水処理(ガラス室内においてエバーフロー灌水チューブを地面に設置し、1日8時間処理)を連続2日間行い、これを2日間隔で5回繰り返すことにより、凸腹粒を発生させることができる(表1)。
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登熟後期に人工的に散水処理を行うと凸腹粒発生の品種間差が明確になる(表2)。その品種間差と多発年に自然条件下で得られた凸腹粒発生データとは有意な正の相関関係が認められる(図1)ことから、凸腹粒抵抗性系統の選抜に利用できる。
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凸腹粒発生率が2%以下(検査等級で1等規格)で、凸腹粒抵抗性の系統として、九州二条16号、九州二条15号、吉系60がある(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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凸腹粒抵抗性系統の選抜に利用する。
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散水処理により倒伏が助長されるので、倒伏防止ネットを設置する。
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[具体的データ]
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表1 散水処理と標準栽培との凸腹粒率の比較(n=12)

表2 散水処理による凸腹粒発生の品種間差(平成11年度)

図1 散水処理と多発生年における凸腹粒発生率の関係
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[その他]
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研究課題名:被害粒等障害抵抗性・高醸造適性ビール大麦品種の育成
予算区分 :21世紀プロI系
研究期間 :2000〜2002年度
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