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デジタル画像を利用した栄養生長期の小麦における植被率の簡易推定法


[要約]
デジタルカメラと画像解析ソフトを用いることによって栄養生長期の小麦における植被率を簡便で非破壊的に測定できる。植被率は、茎数、地上部乾物重、葉面積指数(LAI)と高い正の相関関係が認められることから、生育診断の指標として活用できる。

[キーワード]
画像解析、小麦、植被率、生育診断、デジタルカメラ

[担当]
九州沖縄農業研究センター・水田作研究部・栽培生理研究室

 [連絡先]0942-52-0670
 [区分]九州沖縄農業・水田作
 [分類]科学・参考

[背景・ねらい]
小麦の栽培においては播種時の土壌の乾湿やその後の気温、降水量によって初期生育量が変動しやすく、生育の初期段階から生育診断に基づいて追肥、除草剤散布、土入れ、踏圧などの中間管理作業を適切に行うことが、収量・品質の高位安定化のために重要である。そこで、栄養生長期の小麦の非破壊的で簡便な植被率の推定法を開発し、植被率による生育診断の可能性について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. デジタルカメラを撮影台に設置し、1.3mの高さから鉛直下向きに1.2×0.9mの範囲の小麦群落を撮影する。

  2. そのデジタル画像を、画像解析ソフト(WinRoofVer.3.5、三谷商事社)を用いて色相:50〜180、明度:100〜220、彩度:20〜180のしきい値設定で2値化し、抽出面積を画像処理面積で割った値を求め、これを植被率とする(図1)。

  3. 撮影に要する時間は10画像で約10分、植被率の計算に要する時間は10画像で約10分である。

  4. 植被率は、茎数、地上部乾物重および葉面積指数(LAI)との間に高い正の相関関係が認められるので、植被率によって簡便で非破壊的に小麦の生育状況を診断することが可能である(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 晴天時は遮光板で陰を作り散乱光下で撮影し、曇天時は直接撮影することによって、いずれの天候でも利用できる。

  2. 葉面積指数(LAI)が2以上となる茎立ち期以降では植被率の測定は困難となる。

  3. 植被率の推定法は、しきい値設定を変更することによって水稲等にも適用可能である。

[具体的データ]

図1 小麦の抽出画像(2月8日撮影)


図2 植被率と生育量の関係

[その他]
研究課題名:小麦の畦立て栽培における精密施肥法の開発
予算区分 :軽労化農業
研究期間 :2001〜2004年度

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