暖地向きばれいしょ新品種候補系統「西海28号」
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[要約]
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ばれいしょ「西海28号」は、ジャガイモシストセンチュウに抵抗性を持つとともに、そうか病にもやや強い、暖地二期作栽培に適した食用系統である。滑皮で目が浅くて外観に優れ、食味が良い。
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- ばれいしょ、暖地二期作栽培、外観、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性、そうか病
- [担当]
- 長崎総農林試・愛野馬鈴薯支場・育種栽培科
[連絡先]0957-36-0043
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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平成4年に暖地ばれいしょにおいて発生が確認されたジャガイモシストセンチュウは、年々発生地域を拡大し、産地の維持にとって重要な問題となっている。汚染の拡大防止には抵抗性品種の栽培が有効であるが、暖地ばれいしょの主要品種である「デジマ」、「ニシユタカ」、「メークイン」には本線虫に対して抵抗性がない。このため、ジャガイモシストセンチュウに対して抵抗性を有する高品質、多収品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「西海28号」は、1994年春作に、そうか病に強い「T8973-20」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、早生型で塊茎の早期肥大性に優れる「普賢丸」を父として交配し、翌年から育成・選抜してきた系統である。
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地上部の生育では、出芽期は春作において「デジマ」より4日早く、秋作は同等、初期生育は良好である。早晩性は「デジマ」より早い中早生である。
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上いも重は、春作普通栽培では「デジマ」より多いが、春作マルチ栽培と秋作普通栽培では少ない。春・秋作とも「デジマ」より1株当たりの上いも数は多く、1個平均重は軽い、個数型である。
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塊茎の皮色は白黄色、形は短楕円形、滑皮で目が浅く、外観に優れる。
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肉色は淡黄で「デジマ」よりやや黄色味が強く、肉質は中で、食味は「デジマ」並に良い。
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ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有するとともに、そうか病にもやや強い。
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[成果の活用面・留意点]
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ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有するので、本系統を栽培することにより同線虫密度が低下する。
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個数型で1個重が軽いので、齢の進んだ種いもの使用や極端な密植は避ける。
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疫病や青枯病には弱いので、健全な種いもの使用と、適期防除を心かける。
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[具体的データ]
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表1
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[その他]
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研究課題名:ばれいしょの新品種育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :1994〜2001年度
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