水田転作大豆の麦うね跡利用による浅耕一工程播種技術
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[要約]
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麦収穫後に大豆を播種する場合、そのうね跡をロータリで浅く耕うんながら一工程で同時播種する方法は、省力的であるとともに、多湿土壌条件下における苗立ち歩合の低下程度が小さく、収量は標準耕起播種と同程度〜やや優れる。
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- 大豆、麦うね、浅耕、一工程播種、多湿土壌
- [担当]
- 福岡農総試・農産研・栽培部・作物栽培研
[連絡先]092-924-2848
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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暖地水田の利用形態は水稲・麦の二毛作体系が主体であり、転作大豆は原則として麦跡に栽培されている。栽培されている大豆品種は中生のフクユタカで、播種適期が梅雨末期にあたるため、適期播種が困難で遅播きになり、生育量が不足し低収となる場合がある。また、播種後の湿害により出芽・苗立ちが不良となるなど作柄の不安定要因となっている。そこで、麦収穫後の耕うん・均平作業の省略と初期湿害による出芽不良の回避のため、麦うね跡を利用した浅耕一工程播種技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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麦うね跡をロータリで浅く耕うんしながら同時播種する浅耕一工程播種法は、麦収穫後の耕うん作業を省略でき省力的である(図1)。
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標準耕播種に比べて、播種時の土壌が乾燥した年次(2000年)では苗立ち歩合がやや劣るものの、多雨年(2001年)では苗立ち歩合が高い(表1)。また、土壌含水比30%以上の多湿土壌条件下における苗立ち歩合の低下程度は標準耕播種より小さい(図2)。
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倒伏程度は標準耕播種と同程度である(表1)。
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標準耕播種に比べて、稔実粒数は同程度〜やや少ないが、百粒重は同程度〜やや重く、収量は標準耕播種と同程度〜やや優れる(表2)。
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大豆の苗立ち歩合や収量・品質には麦わらの悪影響はない(表1、表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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暖地水田での水稲・麦・大豆輪作体系における大豆の省力・安定播種技術として活用できる。
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前作の麦うね跡利用を前提としているので、大豆播種時には麦のうね幅と同じ幅のロータリを使用する必要がある。
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[具体的データ]
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図1 麦うね跡利用による浅耕一工程播種法

図2 播種時の土壌水分と苗立ち歩合

表1 播種法および麦わらの有無と苗立ち歩合および倒伏程度

表2 播種法および麦わらの有無と大豆の収量・品質
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[その他]
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研究課題名:暖地輪換水田における麦跡大豆の省力安定多収栽培技術の確立
予算区分 :国庫(21世紀プロII系)
研究期間 :1999〜2001年度
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