さつまいも挿し苗育苗の栽植密度
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[要約]
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さつまいも挿し苗育苗の栽植密度は20cm×20cm以上が適切で,この場合苗質が良好で,ほ場での生育収量・品質が高くなる。
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- さつまいも、育苗、栽植密度、収量、品質
- [担当]
- 鹿農試大隅・営農研究室
[連絡先]0994-62-2001
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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青果用さつまいもは,帯状粗皮病対策や外観品質向上対策のために茎長培養によるウィルスフリー苗を利用している。農家はウィルスフリーの親株を購入し増殖しているが,育苗面積の制限などで栽植密度10cm×10cmから15cm×15cmと狭く,そのため苗が軟弱で,植付後の活着,初期生育の遅れ,ひいては収量低下を招きやすい。特に水平植えでの軟弱苗利用は活着不良の要因となる。そこで,挿し苗育苗での栽植密度(10cm×10cm,15cm×15cm,20cm×20cm,25cm×25cm以下10cm区,15cm区,20cm区,25cm区)が採苗数・苗質に及ぼす影響,また,苗質と収量との関係を検討し安定的な健苗育成技術の確立を行う。
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[成果の内容・特徴]
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採苗開始時期は10cm区,15cm区の密植に比べ20cm区,25cm区が早い(表1)。
- m2当たり採苗総本数は,親株の挿し本数の多さを反映して10cm区が最も多く,次いで1株当たりの採苗本数の増加により20cm区,25cm区の順に多い(表1)。
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健苗(20g以上/本)の採苗本数は栽植密度20cm区,25cm区が多く,10cm区対比270%,278%と2.5倍以上確保できる(表1,図1)。
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採苗本数に占める健苗本数の割合は20cm区,25cm区が高い(表1,図1)。
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苗質について,乾物重は栽植密度が広い20cm区,25cm区が高く,乾物率も栽植密度が広いほど高く,がっちりした健苗となる(表2)。
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本ぽでの上いも収量は,20cm区,15cm区,10cm区の順に高く,20cm区は10cm区対比斜め植が5%,水平植が15%以上多収となる(表3)。
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A品収量は,20cm区,15cm区,10cm区の順に高く,特に水平植でその傾向が強い。20cm区は10cm区対比斜め植が13%,水平植が29%A品収量が高い(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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早掘栽培以降の苗床(2月中旬育苗開始以降)に適用する。
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育苗温度が低いと,節間が詰まり苗長,苗重が小さくなるので,育苗温度には注意する。気温の目安は最高気温(昼間)摂氏30度,最低気温(夜間)摂氏20度とする。
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[具体的データ]
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表1 採苗本数,健苗本数・割合

表2 苗の乾物重,乾物率(g/10本,%)

表3 栽植密度,本ほでの挿苗法と上いも収量,A品収量(kg/a)

図1 健苗の採苗本数と健苗割合
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[その他]
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研究課題名:さつまいもの育苗に関する試験
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2001年度
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