乳牛の削蹄作業を利用した簡易な肢蹄疾患診断票
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[要約]
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乳牛の後肢外蹄の病変を集中的に診断・記録できる簡易診断票を作成した。この診断票を使用することにより、その牛の肢蹄疾患の重要病変を把握することができる。
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- 乳牛、肢蹄疾患
- [担当]
- 福岡農総試畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室
[連絡先]092-925-5177
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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肢蹄疾患の予防のためには、まずその発生状況を把握する必要がある。しかし、乳牛の肢蹄疾患は起立した状態で診断することが困難で、特に蹄底部の疾患の発見には挙肢が不可欠である。そこで、肢蹄を挙肢した状態で観察することができる削蹄作業を利用して、より簡易に肢蹄疾患を診断・記録する方法を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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乳牛の重度な蹄疾患は後肢外蹄に、関節周囲炎は後肢に多く発生する(表1)。このことから、後肢の関節および後肢外蹄を重点的に診断することで、調査対象牛の最も重要な肢蹄疾患を把握できる。
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疫学手法による肢蹄疾患の調査結果から、図1に示す簡易診断票を作成した。診断が困難な蹄底部の疾患が診断票に指定した部位(3)〜(6)に発生する割合は高いので、これにより疾患の発見が簡易にできる(表2)。
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この簡易診断票は、後肢外蹄の疾病発生部位を点線であらかじめ指定しており、(1)〜(6)の順番に従って病変スコアを記入することにより、削蹄作業を活用した肢蹄疾患診断と記録が簡単に実施できる(図1)。
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削蹄師は削蹄所見を、診療獣医師は治療所見を農家に伝達することができる。さらに農家自身が自己牛の肢蹄の健康状態を観察し、記録することができる。
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[成果の活用面・留意点]
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家畜衛生対策事業の「生産性向上対策」の一環として、乳牛の肢蹄疾患の早期発見、原因究明や防除対策の検討に活用することができる。
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[具体的データ]
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表1 後肢外蹄の診断結果と1頭単位の診断結果の相関性

表2 疾病が指定部位に発生した割合

図1 簡易な方法による肢蹄疾患診断票
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[その他]
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研究課題名:蹄疾患の発生状況と病態生理学的原因の究明
予算区分 :県単
研究期間 :2000年度
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