水洗法による簡易悪臭低減技術
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[要約]
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鶏糞乾燥施設等から発生する高濃度のアンモニアを主とする悪臭ガスに対して、生物脱臭装置の前処理として、腐葉土を添加した低コストのシャワーリング装置で水洗処理を行うことにより、生物脱臭装置の負荷を低減することができる。
- [キーワード]
- 悪臭、アンモニア、低コスト、シャワーリング、水洗
- [担当]
- 熊本農研セ・畜産研究所・飼料生産利用部
[連絡先]096-248-6433
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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既存の生物脱臭装置は、アンモニア濃度が300ppmを超えるようなケースでは処理能力を超えるばかりでなく、脱臭装置が機能しなくなるケースも見受けられる。そこで、水洗法などの前処理装置が必要となるが、コストが課題となることが多い。本研究では簡易の水洗装置を作成し、脱臭装置への臭気の負荷を低減すること、水洗処理によって生成される高濃度のアンモニアを含む処理水を長期使用により、生成量の抑制も図ることを検討する。
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[成果の内容・特徴]
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夏季におけるシャワーリングの効果は摂氏60度のガス温度を摂氏40度程度まで低下させ、生物脱臭装置内の微生物に対する活性低下の防止に寄与していると考えられる。(図2)
- 貯留槽の水質については、無添加区ではNH4-Nの濃度だけが上昇するが、腐葉土添加区(腐葉土は市販品を現物重で20kg投入)では、NH4-NとNOx-Nが同濃度となり、NH4-Nが硝化されていることが推察される。これにより水洗水に長期(約3ヶ月)使用が可能となる。
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シャワーリングのアンモニアガスに対する効果は、水道水のみの試験期間の平均除去率は20%程度であるが、腐葉土添加区においては平均35%と除去率の向上が見られる。(図3)
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生物脱臭装置に対する悪臭ガスの負荷低減が可能となり、脱臭装置の規模拡大に比較して、低コストで前処理施設を作成することができる。(図1、表1)
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[成果の活用面・留意点]
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生物脱臭装置の前処理装置として活用する。
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水洗水は試験結果から3ヶ月間は使用可能だが、交換する必要がある
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排水の処理はハウス等で蒸散させるか、堆肥にかけて処理する必要がある。
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[具体的データ]
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図1 簡易悪臭低減装置

図2 ガス温度に対する効果

図3 アンモニアガスの除去率

表1 コストについて(成鶏換算2500羽規模)
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[その他]
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研究課題名:低コスト処理施設による悪臭防止技術
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2001年度
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