気温と降水量を用いた重回帰式によるイタリアンライグラスの出穂期の予測
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[要約]
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10月中旬から下旬までに播種したイタリアンライグラス1番草の出穂期は、1月から3月までの旬別平均気温と月間降水量の特定変数を説明変数として、重回帰式により3日以内の誤差で予測できる。
- [キーワード]
- イタリアンライグラス、出穂期、平均気温、月間降水量、重回帰式
- [担当]
- 福岡農総試・畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室
[連絡先]092-925-5229
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作・生産利用)
[分類]技術・参生産利用考
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[背景・ねらい]
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イタリアンライグラスの収穫時期は、栄養収量の面から出穂期前後が最適であることから、出穂期を推定できれば、農作業計画の樹立に大いに活用できる。また、近年の気温上昇に伴い出穂期の年次変動が大きくなっている。そこで、1月から3月までの旬別平均気温と月間降水量を説明変数とする重回帰式による出穂期の予測技術を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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10月中旬から下旬までに播種したイタリアンライグラスの出穂期の年次間変動は、11日から17日程度と大きい(表1)。
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出穂(1月1日から出穂までの生育日数)と高い相関が認められる気象要素は、早生品種群が1月中旬から2月上旬の平均気温と1月と2月の降水量、「エース」が1月上旬と2月上旬の平均気温、「マンモスB」が1月中旬の平均気温および1月から3月までの降水量である(表2)。
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早生品種群(「タチワセ」、「ワセアオバ」、「ワセユタカ」)の出穂に要する日数は、1月下旬、2月上・中・下旬、3月中旬の各平均気温及び1月降水量を説明変数とする重回帰式により求められる(表3)。
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晩生品種についても重回帰式による予測が可能である。「エース」は1月上・中・下旬の各平均気温及び1月降水量を、「マンモスB」は2月下旬、3月中旬の各平均気温及び3月降水量を説明変数とする重回帰式により求められる(表3)。
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実測値と予測値の差の標準偏差(予測誤差)は、早生品種群が2.3日、「エース」が2.4日および「マンモスB」が2.0日である(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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イタリアンライグラス1番草の収穫時期予測に利用できる。
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早生品種群(「タチワセ」、「ワセユタカ」、「ワセアオバ」)および「エース」、「マンモスB」の標準播種(10月中下旬)に適用する。
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[具体的データ]
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表1 主要品種の出穂期と変動幅

表2 出穂期と気象要素との単相関

表3 出穂期予測のための重回帰式と予測精度
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[その他]
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研究課題名:飼料作物の奨励品種選定、水田裏作における飼料作物の栽培法改善
予算区分 :県単
研究期間 :2000年度(1981〜2000年度)
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