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高乾物率TMR給与による夏期の乳生産向上効果


[要約]
夏期において泌乳牛に給与するTMR(混合飼料)の調製が1日1回夕方の場合、乾物率80%のTMR給与は、乾物率60%のTMR給与に比べて、1日の乾物摂取量は変わらないが、夏期に低下しやすい4%脂肪補正乳量、乳脂肪率および全固形分率が向上する。

[キーワード]
泌乳牛、乾物率、TMR、脂肪補正乳量、乳脂肪率、全固形分率

[担当]
福岡農総試・畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室

 [連絡先]092-925-5232
 [区分]九州沖縄農業・畜産・草地
 [分類]技術・参考
  

[背景・ねらい]
TMR(混合飼料)方式による飼料調製・給与においては、採食性が高まると言う理由から乾物率は50〜60%に調製される場合が多い。しかし、夏期にはTMRが発熱・変敗し摂取量が減少する等の問題が生じている。1997年度の試験において、夏期にTMRを乾物率80%に調製した場合、発熱が抑制されるとともに調製後48時間までの採食率は低下しないことを乾乳牛を用いて明らかにした。そこで、夏期におけるTMR乾物率の違いが泌乳牛の乾物摂取量および泌乳性に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 夏期においてTMRの調製が1日1回夕方の場合、乾物率80%に調製したTMR又は乾物率60%で発熱抑制剤を添加(以下、ATF添加)したTMRの給与では、乾物率60%ATF無添加に比べて、TMR調製直後の給与時における固め食い傾向が緩和される(図1)。

  2. TMRの乾物率が80%であっても、1日の乾物摂取量および乳量は乾物率60%ATF無添加および乾物率60%ATF添加のTMRと変わらない(表1)。

  3. 乳成分では、乾物率80%のTMRを給与すると、乾物率60%ATF無添加のTMR給与に比べて夏期に低下しやすい4%脂肪補正乳量、乳脂肪率および全固形分率が向上する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夏期(6〜9月)のTMR給与方式における、低コストでの発熱防止および乳成分の低下防止に活用できる。

  2. 高乾物率TMRの調製に当たっては、粗飼料を購入乾草主体とし、ほとんど水分添加は行わずに、チェーン式飼料混合機を用いて15分間混合した。

[具体的データ]

図1 TMR摂取量の経時変化


表1 乾物摂取量および乳量・乳成分

[その他]
研究課題名:群管理における飼料調製・給与技術
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000年度

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