低脂肪豚肉生産のためのゴマ油粕給与技術
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[要約]
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肥育豚にゴマ油粕配合飼料を給与すると、背脂肪厚は薄くなり、増体量が優れる。ゴマ油粕の配合割合は8%程度が適当であり、ペクチナーゼ主体の酵素を0.3%加えることにより、飼料要求率が良くなる。
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- 肥育豚、背脂肪厚、ゴマ油粕
- [担当]
- 福岡農総試・畜産研究所・中小家畜部・養豚研究室
[連絡先]092-925-5177
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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現在の養豚経営は、輸入豚肉との競合等厳しい状況におかれており、高品質な豚肉を低コストで生産する技術の開発が望まれている。肥育豚の価格は、背脂肪厚に大きく影響され、厚脂が最も大きい枝肉の格落ち要因となっている。そこで、体脂肪蓄積抑制作用が期待されるゴマ油粕と繊維分解酵素の効果を利用した低脂肪豚肉生産技術について検討した。
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[成果の内容・特徴]
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ゴマ油粕配合飼料を給与すると、ゴマ油粕無配合飼料を給与した場合に比べて、増体量、飼料要求率が優れており、1頭当たり飼料費も安くなる。また背脂肪厚は薄く、ロース肉の脂肪含量は低くなる傾向にある(表1)。
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ゴマ油粕配合飼料にペクチナーゼ主体の酵素を0.3%添加して給与すると、肥育豚の増体量と飼料要求率が向上し、肥育期間の飼料費が減少する。また、背脂肪厚とロース内脂肪含量は、酵素の添加割合の増加とともに減少する(表2)。
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ゴマ油粕の配合割合は、増体成績が良く飼料費も少ない8%配合が適当である。10%以上配合すると、背脂肪厚は薄くなるものの増体量が低下し飼料費が高くなる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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自家配合農家、飼料メーカーでの配合設計の指針として利用する。
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てんぷら油製造時の焙煎が軽度のゴマ油粕を用いる。
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[具体的データ]
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表1 ゴマ油粕配合飼料が豚の発育、背脂肪厚に及ぼす影響(平成11年)

表2 ゴマ油粕及び酵素配合飼料が豚の発育、背脂肪厚に及ぼす影響(平成11年)

表3 ゴマ油粕配合割合が豚の発育に及ぼす影響(平成12年)
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[その他]
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研究課題名:低脂肪豚肉生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2000年度
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