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黒毛和種体細胞クローン雄牛精液の繁殖能力の正常性と相似性


[要約]
体細胞クローン雄牛の精液性状、体外受精能および受胎能を調べたところ、全ての項目で異常は見られなく、子牛も生産されたことから繁殖能力は正常である。また、体外受精においてドナーとそのクローン間の精液特性は相似している。

[キーワード]
体細胞クローン牛、繁殖能力、体外受精、相似性

[担当]
大分県畜産試験場・肉用牛生産技術部

 [連絡先]0974-76-1216
 [区分]九州沖縄農業・畜産・草地(動物バイテク)
 [分類]技術・参考
  

[背景・ねらい]
体細胞のドナー牛と体細胞クローン牛および同一の体細胞より作出されたクローン牛間の繁殖能力を含む生理機能とその相似性についてはまだ解明されていない。今後、フィールドへの普及可能な技術とするためには、これらの問題を解明しなければならない。黒毛和種体細胞クローン雄牛の繁殖能力を確認するため、2頭のクローン雄牛「夢福号」と「第2夢福号」およびこれらのドナー牛である種雄牛「糸福号」の精液を用い体外受精そして1頭のクローン牛による人工授精を行い、体細胞クローン雄牛精液の受精能力を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 精液性状・凍結能、受精能に関する調査では、生存率、活力、PH等で異常が無く、体細胞クローン牛の精液性状、凍結能ともに正常である(表1表2)。

  2. 体外受精における受精能獲得処理は、夢福号と第2夢福号はカフェイン添加区よりもテオフィリン添加区において初期発生率、胚盤胞発生率ともに有意に高く、ドナー牛の糸福号と同じ傾向であり、これらに相似性が見られる(表3)。

  3. 夢福号の精液を用いて、黒毛和種雌牛への人工授精による受精能調査では、液状精液で60%、凍結精液で40.9%の受胎が確認され、産子の生産も可能である。現在までに雄7頭、雌3頭が生まれている(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夢福号と第2夢福号は、体細胞ドナー牛の糸福号と同様に種雄牛として供用能力を有する。

  2. 問題として、黒毛和種の体細胞クローン牛は全国和牛登録協会での登録規定がなく、現時点ではこの精液によって子牛の生産は出来ない。

[具体的データ]

表1 精液性状成績


表2 精液性状成績(活力+++の精子生存率)


表3 体外受精能に関する調査成績


表4 夢福号産子の分娩状況

[その他]
研究課題名:体細胞クローン牛の遺伝的相同性調査
予算区分 :県単
研究期間 :2000年度

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