鹿児島県におけるイタリアンライグラスの早期播種
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[要約]
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イタリアンライグラスを9月上旬に早期播種することで、年内に1番草を伸長期で刈り取り利用することが可能になり、2回刈りでの合計乾物収量が標準播種期(9月下旬〜10月上旬)と比べ多い。1番草の粗蛋白質は高いが、硝酸態窒素が多い。
- [キーワード]
- イタリアンライグラス、早期播種、乾物収量、標準播種、硝酸態窒素
- [担当]
- 鹿児島県畜産試験場・飼料部
[連絡先]0995-48-2189
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年、本県においてイタリアンライグラスを早期に播種して年内に刈り取り利用する体系が増加しつつあるが、その収量性や成分値についての検討が不十分であったので、その収量性と成分値について検討した。
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[成果の内容・特徴]
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9月上旬播種では、他の播種時期に比べ2回刈りの合計収量が多かった(表1)。特に早生品種で生草収量9850kg/10a,乾物収量1628kg/10aと、晩生品種に対して多収であった(表1)。
- 9月上旬播種の1番草の粗蛋白質は,他の播種時期の1番草よりも高かったが、硝酸態窒素(NO3-N)は、乾物当たり0.2%を越え多かった(表2)。また,9月上旬播種の1番草の酸性デタージェント繊維(ADF)、中性デタージェント繊維(NDF)、粗繊維(CF)の含量は他区に対していずれもやや低い値であった(表2)。
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2番草は、1番草に比べ硝酸態窒素は低く、酸性デタージェント繊維、中性デタージェント繊維、粗繊維はいずれも高かった(表3)。また、2番草では9月上旬播種の酸性デタージェント繊維は他区に対してやや高い傾向にあった(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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鹿児島県内(離島をのぞく)で活用できる。
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9月上旬播種では、イモチ病の発生に注意する。
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[具体的データ]
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表1 播種期別試験収量調査結果

表2 1番草の乾物中成分値

表3 2番草の乾物中成分値
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[その他]
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研究課題名:西南暖地におけるイタリアンライグラス利用技術及び春夏作草種との合理
的な組み合わせ法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2001年度
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