市販微生物資材等の堆肥化過程での臭気軽減効果
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[要約]
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臭気の軽減を図るために、各種の微生物資材等が流通している。21種類の微生物資材についての豚ふん堆肥化試験を行った結果、堆肥化を促進する効果は認められるものの、アンモニア・硫黄化合物・低級脂肪酸の全ての発生を抑制できる資材はない。
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- 微生物資材、臭気軽減、堆肥発酵
- [担当]
- 鹿児島畜試・企画環境部
[連絡先]0995-48-2122
[区分]九州沖縄農業・畜産草地
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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畜産農家の飼養頭数の多頭化、農村での混住化が進展していく中で、悪臭に対する問題はますます深刻化しており、その解決が急務となっている。近年、市販脱臭剤が流通している。(農家が混乱している?)そこで、その脱臭能力がどの程度なのか明らかにするために、試験を実施した。
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[成果の内容・特徴]
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県内では肉用牛・乳用牛・豚・採卵鶏・肉用鶏農家で60種類以上の微生物資材等が流通している。このうち21種類の放線菌・乳酸菌・複数の菌を混合したもの・木酢液を利用したもの等の脱臭資材を購入し、小型堆肥化装置で堆肥化した(表1)。
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各脱臭資材を豚ふんに規定量混合し、発酵させた結果、すべての資材において資材を混合しなかった区に比べて品温が摂氏1〜4度と高く推移し、堆肥化促進効果が認められた。
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放線菌・木酢液を主体とする3つの資材は、堆肥化過程でのアンモニア揮発量を50%以上低減でき、また9資材については20%以上低減できる。
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硫黄化合物(硫化水素・メチルメルカプタン・硫化メチル・二硫化メチル)を20%以上低減できたのは、バチルス菌を主体にする資材のみである。また,低級脂肪酸(プロピオン酸・ノルマル酪酸・イソ吉草酸・ノルマル吉草酸)を20%以上低減できたのは放線菌・鉱物質である。しかし,両物質を顕著に軽減できる資材はない。
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[成果の活用面・留意点]
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堆肥化過程で使用する、微生物資材の悪臭防止効果や堆肥発酵の促進効果が明らかになったので、畜産現場で微生物資材を選定する際の指標として利用できる。
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一つの微生物資材でアンモニア・硫黄系・低級脂肪酸の全ての悪臭を軽減できる資材はないので、過度に微生物資材に頼ることなく、速やかなふん尿の処理と併せて飼養環境の改善も図る必要がある。
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[具体的データ]
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表1 試験を実施した微生物資材の個別の成績
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[その他]
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研究課題名:微生物資材を利用した堆肥化過程での臭気軽減効果
予算区分 :県単
研究期間 :1995〜2000年度
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