各種イオンバランス調整剤の嗜好性
-
[要約]
- 乳牛の低カルシウム血症を防止するため、クローズアップ期に用いられるイオンバランス(DCAD)調整剤の嗜好性は硫酸カルシウム>硫酸マグネシウム>塩化アンモニウム>塩化マグネシウム>塩化カルシウムである。
- [キーワード]
- イオンバランス調整剤、低カルシウム血症、クローズアップ期、嗜好性
- [担当]
- 沖縄県畜産試験場・大家畜研究室
[連絡先]0980-56-5142
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
- 乳牛のクローズアップ期において、イオンバランス(DCAD)調整剤を利用することは低カルシウム血症を防止するのに有効であると考えられている。しかし、DCAD調整剤に対する嗜好性は必ずしも良くないことから、飼料に添加した場合、採食量が減少してしまう。そこで、DCAD調整剤として、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)硫酸カルシウム(CaSO4)、硫酸マグネシウム(MgSO4)を用いて、嗜好性を明らかにする。
-
[成果の内容・特徴]
-
- 嗜好性試験の方法は、NH4Cl、CaCl2、MgCl2、CaSO4、MgSO4の5種類のDCAD調製剤について、スーダン乾草主体の混合飼料(TMR)15kgに対してそれぞれ表1に示す量で添加し、これをホルスタイン種乾乳牛8頭を用いカフェテリア法により自由に採食させ、6および24時間後の乾物摂取量を測定して比較したものである。
- DCAD調製添加量の多い順ではMgSO4区>CaSO4区>MgCl2区>CaCl2区>NH4Cl区で、DCAD値は無添加区が420mEq/kgで、添加区は67mEq/kgから134mEq/kgの範囲である。また、コストの高い順ではCaSO4区>MgCl2区>CaCl2区>MgSO4区>NH4Cl区である(表1)。
- 乾物摂取量は、給与開始後6時間では多い順に無添加区>CaSO4区>MgSO4区>MgCl2区>NH4Cl区>CaCl2区で、24時間ではCaSO4区>無添加区>MgSO4区>NH4Cl区>MgCl2区>CaCl2区で、硫化物が塩化物より摂取量が高い(図1)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
DCAD調整剤を選択する際参考となる。
-
添加量や飼料の組み合わせによって嗜好性は変化する可能性がある。
-
[具体的データ]
-

表1 DCAD調整剤添加量、DCAD値およびコスト

図1 DCAD調製剤添加が乾物摂取量に及ぼす影響
-
[その他]
-
研究課題名:乳牛の分娩前後栄養管理技術の確立
予算区分 :地域基幹
研究期間 :1999〜2003年度
目次へ戻る