定時授精時の受胎率に影響する分娩後日数
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[要約]
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定時授精時の受胎率に農場間に大きな差はなく、分娩後日数別の受胎率は、分娩後101〜150日と分娩後151〜200日の受胎率が平均受胎率より高い傾向を示し、また、分娩後100日以内では受胎率が平均受胎率より低い傾向を示す。
- [キーワード]
- 乳牛、繁殖、定時授精、受胎率、分娩後日数
- [担当]
- 鹿児島畜試・乳用牛部、鹿児島肉改研・新技術開発研究室
[連絡先]0995-48-2187
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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乳牛の泌乳能力は飼養管理の改善、牛群の改良により向上しているが、分娩間隔は延びる傾向にある。乳量が増加しても、分娩間隔が短縮されなければ、生産性が改善されないことから、繁殖成績の向上は酪農経営上大きな課題となっている。分娩間隔を短縮するには分娩後の一定期間内に発情を発見し、人工授精を行い、受胎させることである。そこで、ホルモン剤投与による定時授精時のを調査し、受胎率に影響すると考えられる農家間、分娩後日数、実施季節の関係を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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今回の定時授精法は表1のとおりである。
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農場間の平均の受胎率は33.8%で、農場間に大きな差はみられなかった(表2)。
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分娩後日数別では、分娩後101〜150日と分娩後151〜200日の受胎率が平均受胎率より高い傾向を示し、また、分娩後100日以内では受胎率が平均受胎率より低い傾向を示した(表3)。
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実施月では、暑熱期と考えられる6〜9月の受胎率が、平均受胎率より高い傾向を示し、10〜3月の受胎率が平均受胎率より低い傾向を示した(表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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分娩後の乳牛に活用できる。
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分娩後日数には、栄養状態が深く関係しているので、実施時のボディーコンディションスコアーのチェックも重要である。
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ホルモン剤の利用には、獣医師の指示が必要である。
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[具体的データ]
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表1 定時授精法

表2 定時授精処置による受胎成績(農場間の比較)

表3 定時授精処置による受胎成績(分娩後日数の比較)

表4 定時授精処置による受胎成績(実施月の比較)
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[その他]
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研究課題名:西南暖地における繁殖技術向上
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2000年度
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