鶏肉中イノシン酸量の経時的変動と鶏種間差
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[要約]
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肉用鶏のムネ肉中イノシン酸量を鶏種間で比較評価する場合は、鶏種間の差が拡大すると殺後12〜24時間に測定することが望ましい。また、イノシン酸量は週齢の経過によって増加し、品種間でも差がある。
- [キーワード]
- 肉用鶏、イノシン酸、鶏種、評価
- [担当]
- 福岡農総試・畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室
[連絡先]092-925-5177
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜)
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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鶏肉中のイノシン酸(IMP)は旨味を形成する大きな要素の一つであり、鶏の肉質を管理・改善するためには今後その比較が重要となる。食味試験において、鶏種毎に旨味が異なるのは、IMP量に差があるためと推察されるが、と殺後の経時的変動が大きいため、いつの時点で測定すべきかについて明確でなかった。そこで、鶏種毎のムネ肉(浅胸筋)中IMP量を、と殺後の時間と週齢を追って調査し、IMP量の消長と差について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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IMP量はいずれの鶏種でも、と殺後12時間までは減少が大きく、12〜24時間で鶏種間の差が拡大する。このことからIMP量を鶏種間の比較に用いるには、と殺後12〜24時間での測定値を用いるのが妥当である(図1)。
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飼育期間8〜9週の鶏種はIMP量が少なく、と殺後8〜12時間後に急激に減少する。これに対して、飼育期間18週の鶏種ではIMP量が多く、かつ持続する(図1)。また横斑プリマスロック(BP)およびシャモについて同一種の18週齢と14週齢とを比較すると、18週齢の鶏が高く推移する(図2)。これらのことから、IMP量は週齢の経過によって高まると考えられる。
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18週齢BPは同週齢シャモよりIMP量が多く、持続性が高い(図1、図2)。また二元交雑種間でもBP×ホワイトロック(WR)はシャモ×WRより高く推移する(図3)。従ってIMP量と持続性には品種間に差があり、交雑種にもその特徴が現れる。
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[成果の活用面・留意点]
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肉用鶏の肉質管理・改善のための基礎資料とすることができる。
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BPのIMP量と持続性が優れることから、「はかた一番どり」および肉用BPの流通販売上の資料として利用することができる。
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生産コスト低減のために特産肉用鶏の飼育期間を短縮することは、IMP量の低下を招く恐れがある。
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[具体的データ]
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図1 各鶏種のムネ肉中イノシン酸量

図2 週齢の異なる同一品種のイノシン酸量

図3 在来種2品種の純系およびWRとの交雑種のイノシン酸量
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[その他]
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研究課題名:地域特産鶏肉の肉質評価法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000年度
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