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濃厚飼料のDIP(分解性蛋白質)は肉用牛の粗飼料採食量に影響する


[要約]
分離給与では、粗飼料としてイタリアン乾草を給与する場合は、DIP割合の異なる濃厚飼料を給与しても粗飼料の採食量は変わらないが、稲ワラを給与する場合は、DIP割合の高い濃厚飼料を給与すると粗飼料の採食量が多くなる。また、消化率は濃厚飼料のDIP割合が異なっても大きな差は認められない。

[キーワード]
DIP、粗飼料、採食量、消化率

[担当]
長崎畜試・肉用牛科

 [連絡先]0957-68-1135
 [区分]九州沖縄農業・畜産(肉用牛)
 [分類]科学・参考
  

[背景・ねらい]
肉用牛の肥育では、分離給与において肥育前・中期に濃厚飼料を制限給餌して、粗飼料の採食量を増加させ、反芻胃の発達を促そうとする飼養管理が広く行われている。近年、乳用牛では蛋白質の分解性が考慮されてきたが、肉用牛における知見は少ない。そこで、自給粗飼料を多給した効率的な肥育技術の確立を目的に、濃厚飼料のDIP(分解性蛋白質)割合が肉用牛の粗飼料採食量及び消化率に及ぼす影響を検討する。

[成果の内容・特徴]
消化試験ストールに繋養した黒毛和種去勢牛2頭(試験I:平均253kg,9ヶ月齢;試験II:平均343kg,12ヶ月齢)を用い、DIP割合の異なる濃厚飼料を制限給餌(試験I:体重比1.4%;試験II:体重比1.7%)、粗飼料(試験I:イタリアン乾草;試験II:稲ワラ)を不断給餌し、1期11日の採食量と試験終了前4日の消化率を調査した。両試験とも2期に試験期間を分け、給与する濃厚飼料は各期に試験牛を反転して比較した(表1)。

  1. 粗飼料としてイタリアン乾草を給与する場合は、DIP割合が異なる濃厚飼料を給与しても粗飼料の採食量は変わらないが、稲ワラを給与する場合はDIP割合が高い濃厚飼料を給与すると粗飼料の採食量が多くなる(表2)。

  2. 稲ワラを給与する場合、CF消化率がやや劣る傾向にあった。しかし、濃厚飼料のDIP割合が異なってもDM、CP、EE、およびNFE消化率に大きな差は認められなかった(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肥育前・中期の粗飼料多給肥育における栄養設計に利用できる。

  2. 飼養試験において増体性、肉質に及ぼす影響を調査する必要がある。

[具体的データ]

表1 給与飼料の成分


表2 栄養摂取量および増体量


表3 消化率

[その他]
研究課題名:転作水田・遊休農地の利活用による自給飼料生産を基軸とした肉用牛の効率的生産技術の開発
予算区分 :国補
研究期間 :1999〜2002年度

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