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中晩生カンキツ「はるみ」の露地栽培での収穫時期と浮皮防止技術


[要約]
中晩生カンキツ「はるみ」は、12月下旬に完全着色となり、糖度が12度を超える。12月下旬に収穫して常温貯蔵した果実は、1月下旬に収穫した果実と同等に品質が優れている。果実の浮皮は9月のカルシウム剤処理により発生程度が軽減される。

[キーワード]
中晩生カンキツ、はるみ、糖度、収穫時期、常温貯蔵、浮皮、カルシウム

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・常緑果樹研究室

 [連絡先]092-922-4946
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・普及
 

[背景・ねらい]
「はるみ」は、「清見」と「ポンカン」の交配で育成された高品質な中晩生カンキツである。糖度が高く、「不知火」より成熟が早く1月〜2月に出荷できる品種として、福岡県での普及が期待されている。今後、栽培の拡大を図るためには露地栽培における成熟期ならびに収穫期を明らかにする必要がある。このため、果実の成熟に伴う着色、糖度、クエン酸含量など品質の経時的変化とともに栽培上課題となっている浮皮の発生防止技術について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 果実は10月下旬以降に着色が始まり、12月下旬には概ね完全着色となる。浮皮は11月から発生し、1月には顕著になる。糖度は12月下旬には12度まで増加する。クエン酸含量は11月には1.5g/100ml、12月下旬には1.0g/100ml程度まで減少する(図1)。

  2. 12月下旬に収穫後、1ヵ月常温貯蔵した果実は樹上で越冬させ1月下旬に収穫した果実と品質の差がない(表1)。貯蔵中の果皮障害、腐敗は少ない(データ略)。

  3. 果実の浮皮は、9月のカルシウム剤散布により発生程度が軽減される(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「はるみ」の収穫期や浮皮症の防止技術として果樹栽培技術指針に登載できる。

  2. 果実は冬季の寒害を受けるまでに収穫して、貯蔵後品質を高めて出荷する。

  3. 生育期間の土壌水分が少ないとクエン酸の減少が抑制されるので、土層の浅い園地などでは夏季の土壌水分の保持に努める。クエン酸含量の高い果実はなるべく収穫を遅らせる。

  4. 浮皮は大きい果実で著しいため、2L、L級果の生産を主体とした摘果を行う。

[具体的データ]

図1 「はるみ」の着色、浮皮、糖度、クエン酸含量の経時的変化1)(1998〜2000年)


表1 「はるみ」の収穫時期と果実品質(1999年)


表2 「はるみ」のカルシウム剤処理1)と浮皮発生程度2)(2000年)

[その他]
研究課題名:晩生柑の品種・系統適応性
予算区分 :経常
研究期間 :1980〜2000年度

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