ヒリュウ台温州ミカン「大津四号」の早期樹冠拡大法
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[要約]
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ヒリュウ台温州ミカン「大津四号」の1年生苗を、保水性の高い粒状培土により育苗すると、新梢が長くなって樹高も高くなり、早期に樹冠拡大が図れる。また、苗植え付け後に黒ポリフィルムでマルチ処理し、春季せん定時には秋枝のみを切除する程度の弱い切り返しを行うと、樹冠の拡大が早まる。
- [キーワード]
- 温州ミカン、大津四号、ヒリュウ台、大苗育苗、切り返し、樹冠拡大
- [担当]
- 福岡農総試園研・果樹部・常緑果樹研究室
[連絡先]092-922-4946
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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温州ミカンのわい性台木ヒリュウは、従来のカラタチ台木に比べて省力化と高品質化が同時に図れる台木として注目されており、福岡県でも導入が進められている。しかし、ヒリュウ台を用いると苗の植傷みや幼木時からの着花・結実などにより初期の生育が抑制されやすく、生産性向上のためには未結実期間の幼木時にできるだけ樹冠の拡大を図った後に結実させることが必要である。そこで、ヒリュウ台「大津四号」について、大苗育苗や苗植え付け後の管理法が幼木の樹冠拡大に及ぼす影響を調査し、早期成園化のための技術確立を行う。
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[成果の内容・特徴]
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ヒリュウ台「大津四号」の1年生苗を保水性の高い粒状培土により2年間ベッドで大苗育苗すると、マサ土で育苗した場合や当初から圃場に定植した場合に比べて新梢が長くなって樹高も高くなり、早期に樹冠の拡大が図れる(表1)。
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苗植え付け後に黒ポリフィルムでマルチ処理して保湿すると、夏季の葉色が濃くなり、幹周が肥大して樹冠容積が大きくなる(表2)。
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幼木の春季せん定時に秋枝のみを切除する切り返しを行うと、夏枝まで切除する強い切り返しに比べて新梢数と葉数が増加し、樹冠の拡大が早まる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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ヒリュウ台温州ミカンの幼木時の管理技術資料として活用できる。
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大苗育苗には、粒状培土などの保水性の高い土壌を用いる。
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[具体的データ]
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表1 ヒリュウ台「大津四号」の大苗育苗が樹冠拡大に及ぼす影響(2000年)

表2 ヒリュウ台「大津四号」の植え付け後のマルチ処理が樹冠拡大に及ぼす影響(1999年)

表3 ヒリュウ台「大津四号」幼木の切り返しせん定程度が樹冠拡大に及ぼす影響(2000年)
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[その他]
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研究課題名:ヒリュウ台での早期成園化と栽培技術の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度
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