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温州ミカン「山下紅早生」の高うねマルチ栽培による高品質果実生産


[要約]
温州ミカン「山下紅早生」の高うねマルチ栽培では、樹齢8年以降の樹冠容積や1樹当たり収量の伸びが小さくなり慣行栽培との差が大きくなるが、樹冠単位容積当たり収量は慣行栽培より多く、また糖度や甘味比が高まり、特に糖度は不透水シートによる根域制限で高くなる。

[キーワード]
温州ミカン、山下紅早生、高うねマルチ栽培、根域制限、収量、果実品質

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・常緑果樹研究室

 [連絡先]092-922-4946
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・普及
 

[背景・ねらい]
温州ミカンの高うねマルチ栽培は、高品質果実生産技術として福岡県北部のカンキツ産地を主体に面積が拡大している。「山下紅早生」の高うねマルチ栽培における若木の収量、品質についてはこれまでに報告しているが、樹齢が進み樹冠が拡大した状況での生育、収量および果実品質は明らかになっていない。これらは経済樹齢を考慮する上で重要な課題である。そこで、成園化した高うねマルチ栽培園における樹の生育、収量、果実品質について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「山下紅早生」の高うねマルチ栽培における樹冠容積は、樹齢8年生までは拡大が大きいが、それ以降の拡大は小さく、樹齢とともに慣行栽培との差が大きくなる。根域制限方法による樹高、樹冠容積の差は認められない(表1)。

  2. 1樹当たり収量は、高うねマルチ栽培が慣行栽培に比べて少なく、根域制限で特に不透水シート処理により少なくなる。樹冠容積1m3当たり収量は年次による差がみられるが、慣行栽培に比べて高うねマルチ栽培で根域制限しない場合や透水シートにより根域制限した場合に多い傾向となる(表2)。
  3. 果実品質は、高うねマルチ栽培が慣行栽培に比べて糖度と甘味比が高く、特に糖度は不透水シート、甘味比は透水シートによる根域制限方法で高い(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 高品質果実を生産する高うねマルチ栽培の資料として活用できる。

  2. 高うねマルチ栽培は、密植で収量を確保するとともに、結実開始後の樹冠拡大が遅いので幼木時に樹冠拡大を図る。

[具体的データ]

表1 高うねマルチ栽培の「山下紅早生」の根域制限方法と樹体生育(1991〜2001年)


表2 高うねマルチ栽培の「山下紅早生」の根域制限方法と収量(1997〜2001年)


表3 高うねマルチ栽培の「山下紅早生」の根域制限方法と果実品質(1996〜2001年)

[その他]
研究課題名:高品質果実生産に適したマルチ栽培での少資材化と栽培技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2001〜2003年度

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