カキ「西村早生」の切り枝を用いた冬季せん定直前の着花予測法
-
[要約]
-
カキ「西村早生」の休眠覚醒に必要な低温遭遇時間は400時間程度である。12月末まで樹上で低温に遭遇させ、採取した結果母枝を水挿しして摂氏20度で発芽させると、2月上旬には着花数が確認でき、冬季せん定直前の雌花・雄花の着花数が予測できる。
- [キーワード]
- カキ、西村早生、休眠覚醒、低温遭遇時間、水挿し
- [担当]
- 福岡農総試園研・果樹部・落葉果樹研究室
[連絡先]092-922-4946
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
雌雄同株であるカキ「西村早生」は雌花と雄花の着生割合が年によって大きく変動し、収量不安定の要因となっている。収量を安定的に確保するためにはせん定時に雌花の着生が多い結果母枝を選択する必要があり、冬季せん定前に次年度の着花状況を予測することは極めて重要である。これまで着花状況の予測は、りん鱗剥皮法により実体顕微鏡下で新梢上の冬芽を一芽ずつ観察して行ってきたが多大な労力を要する。そこで、「西村早生」の切り枝を用いて冬季の雌花・雄花の着花数を予測する方法を明らかにする。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
「西村早生」の休眠覚醒に必要な低温遭遇時間は400時間程度である。12月30日以降に採取した「西村早生」の結果母枝は既に休眠が覚醒しており、そのまま水挿しして、摂氏20度の恒温器内で発芽させると26日以内に100%の腋芽が発芽し、約80%以上の芽で展葉する(表1、図1)。
-
展葉まで至った新梢では雌花と雄花の着生が確認できるようになり、12月30日以降に採取した「西村早生」の結果母枝では約80%以上の芽で着花数が確認でき、樹上で通常に発芽した場合の雌花と雄花の着生数と差がみられない。
-
12月30日に採取した結果母枝は、2月5日には全芽の雌花と雄花着生数の確認が終了し、慣行の冬季せん定作業にも間に合う(表1)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
カキ「西村早生」の雌花確保のためのせん定指導資料として果樹栽培技術指針に登載できる。
-
発芽処理を行う場合、結果母枝の芽の乾燥を防止するため水挿しした容器全体をポリ袋で覆い、容器の水は適宜交換する。
-
[具体的データ]
-

図1 結果母枝の採取時期と発芽率(平成10〜11年)

表1 結果母枝の低温遭遇時間と着花状況(平成10〜11年)
-
[その他]
-
研究課題名:カキの着花特性の解明に基づく樹勢及び雌花着生調節技術の確立
予算区分 :受託試験(超省力園芸)
研究期間 :1997〜2000年度
目次へ戻る