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カキ「新秋」のボックス栽培における用土の種類、量および施肥量


[要約]
カキ「新秋」のボックス栽培では、用土の量は果実品質、収量のバラツキが小さく、運搬の利便性を考慮して25L、用土は粒状培土か真砂土とし、肥料は肥効調節肥料の1回施用、1樹当たり窒素成分7〜14gで栽培できる。

[キーワード]
カキ、新秋、ボックス栽培、用土、肥効調節肥料

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・落葉果樹研究室

 [連絡先]092-922-4946
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・普及
 

[背景・ねらい]
樹高が高く、高所作業の多いカキ栽培において、管理作業の省力・軽作業化および安全化を図る低樹高栽培法の一つとしてボックス栽培が注目されている。果樹のボックス栽培ではこれまでミカンを中心に研究が実施されたが、コスト面から実用化には至っていない。カキでは一部で試作されているが、用土や肥培管理などの面で不明な点が多い。そこで、ボックス栽培に適した用土の種類、量および施肥方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. ボックスの用土量は、25Lとした場合1樹当たり収量は少ないが樹体のバラツキは小さく、果実品質も低下せず、樹冠が低くボックス全体の重量も軽い(表1)。

  2. 用土は、粒状培土または真砂土で1樹当たり収量が多く、樹冠がやや小さくなる(表2)。

  3. 施肥量は、1樹当たり窒素成分で7〜14g程度とすることにより収量や品質の樹体間のバラツキが小さくなる(表3)。省力化のため肥効調節肥料のロング140(肥効が140日間)を使用すると、3月の1回施用でよい(データ略)。

  4. ボックス栽培では慣行栽培に比較し、経営費(苗木、ボックス、かん水施設、誘引資材など)が10a当たり10〜15万円/年ほど多く必要となる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. カキボックス栽培の指導資料として指導指針に記載できる。

  2. 25Lのボックスでは、1樹当たりの着果数20果、収量5kgを目標とし、裁植本数は10a当たり350本程度とする。また、経営費が多く必要となるため、付加価値の高い商品の生産を図る。

  3. カキ樹は乾燥に弱いため生育期間中のかん水は自動かん水装置を利用し、土壌水分の保持に努める。

  4. ボックス栽培では樹体の生育が不揃いなため、植栽数の10〜20%程度の補植用大苗を常に準備する。

[具体的データ]

表1 「新秋」ボックス栽培における用土量と収穫量、果実品質および樹冠(平成8〜12年)


表2 「新秋」ボックス栽培における用土の種類と収穫量、果実品質および樹冠(平成8〜12年)


表3 「新秋」ボックス栽培における施肥量と収穫量、果実品質および樹冠(平成8〜12年)

[その他]
研究課題名:低樹高、超密植による省力生産技術開発
予算区分 :県特
研究期間 :1996〜2000年度

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