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高糖系温州ミカン「白川」の芽かきによる着果安定技術


[要約]
高糖系温州ミカン「白川」は、緑化前に徒長的に伸長している新梢を芽かきすることで着果しやすくなり、極大果が減り、品質が向上する。芽かきに要する作業時間は、10a当たり、着花の少ない年で3〜5日間程度、着花の多い年では、1〜2日間程度である。

[キーワード]
温州ミカン、「白川」、芽かき、着果安定、労働時間

[担当]
熊本農研セ果樹研・常緑果樹部

 [連絡先]0964-32-1723
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・普及
 

[背景・ねらい]
高糖系温州ミカン「白川」は、樹勢が強く、枝梢伸長が旺盛で、着花が少ない年には徒長枝が多く、養分競合により生理落果を助長し、着果しにくくなり、着果量不足により極大果が増加し、品質も低下しやすい。そこで、生理落果期の養分競合を減らし、着果性を向上させることをねらいとして、新梢緑化前における徒長枝の芽かきによる着果安定方法と作業時間について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 樹全体の20cm以上の枝を切除した区(以下全芽かき)、第2亜主枝以下を芽かきした区(以下簡易芽かき)ともに着果性が向上する。(表1)芽かき対象となる新梢は、着花が多い年に比べ、着花が少ない年は新梢の発生量が多く、芽かきの本数が多くなる。(表3)

  2. 芽かきにより、収量、着果個数は多くなり、全芽かきにより、より多くなる傾向にある。(表1

  3. 芽かきにより、極大果が減少し、クエン酸はほぼ変わらず、糖度が高くなり、着色、果皮色も向上するが、浮き皮の発生は増える傾向にある。(表2)

  4. 着花が多い年に比べ、着花の少ない年の芽かきは、作業効率は良くなるものの、10a当たりの作業時間は長くなる。10a当たりの労働時間は、着花が多い年で1〜2日程度、着花が少ない年で3〜5日程度となる。(表3
  5. 作業者の熟練度による芽かき作業効率は、熟練者に比べ、初心者は、1本当たりで1.6倍程度となるが、実施後に手直しが必要な枝の本数については、実用上、問題にはならない程度と思われる。(表4

[成果の活用面・留意点]
  1. 「白川」の栽培技術指導資料として活用できる。

  2. 作業適期は、開花期前後の短い期間のため、労力配分に留意する。

[具体的データ]

表1 年次ごとの芽かきによる着果の差異


表2 芽かきによる果実品質の差異


表3 芽かぎの処理量と作業時間の年次比較


表4 作業者の違いによる芽かぎ作業効率の違い(簡易芽かぎ)

[その他]
研究課題名:低樹高・少資材によるニューセラー系温州ミカンの品質保証果実生産技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2001〜2002年度

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