日本ナシ「新高」の好適生育基準とその誘導技術
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[要約]
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日本ナシ「新高」の生育期各ステージにおける樹相を調査し、高収量、高品質、安定生産が可能な樹相を数値によって指標化し、好適生育基準を策定するとともに、それへの誘導技術を確立した。
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- 日本ナシ、新高、樹相、生育基準
- [担当]
- 熊本農研セ果樹研・落葉果樹部
[連絡先]0964-32-1723
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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地域特産的性格が強い日本ナシ「新高」は、研究の蓄積が少なく、栽培技術が体系化されていないため、産地や生産者間で収量、品質のバラツキが大きく、高品質の安定多収技術の確立が要望されている。そこで、生育期別の好適生育・成熟パターンを明らかにして好適生育基準を設定するとともに、それへの誘導技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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目標収量及び品質は、10a当たり収量6t、1果重700g以上、糖度13以上とする(表1)。
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せん定は、側枝間隔を約50cmと従来より狭くして側枝密度を高めるとともに、1〜5年生側枝を均等に配置する(表1)。
- 摘果は、着果数9果/m2、葉果比70〜80を目安として行う(表1、表2)。なお、700g以上の果実を生産するためには、満開後60日目頃に横径が35mm以下の小玉果を摘果する(表1)。
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新梢停止時以降のLAI(葉面積指数)は、2.5〜3.0が最適である(表1、表2)。
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収穫時期は、成熟日数180日、成熟積算温度摂氏4000度、果肉硬度4lbs、糖度13以上等を指標として決定する(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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「新高」の栽培管理のための診断基準、栽培技術指導資料として活用できる。
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大果生産により生理障害の発生が助長されるので、みつ症及びてい窪部の亀裂が多い園では、そのための十分な対策を行っておく。
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側枝間隔を狭めることで過繁茂となりやすく、成熟期に日照時間が少ない年には糖度の低下が懸念されるので、LAIが2.5〜3.0になるように夏季せん定を行う。
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[具体的データ]
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表1 ニホンナシ「新高」の好適生育基準

表2 好適生育相への誘導技術
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[その他]
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研究課題名:西南暖地の特性を活かした晩生ナシの超高収益栽培技術の開発
予算区分 :助成試験(地域重要新技術)
研究期間 :1997〜2001年度
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