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日本ナシ「新高」のみつ症発生防止技術


[要約]
日本ナシ「新高」のみつ症は、8〜9月の適度な潅水、9月の1か月間の遮光処理、交配後20日目の早期の小袋かけ、満開後10日目及び満開後100日目からの10日間隔、各5回のカルシウム剤散布、早期収穫と低温貯蔵の組合せ処理等によって軽減できる。

[キーワード]
日本ナシ、新高、みつ症、潅水、遮光、袋かけ、カルシウム剤

[担当]
大分農技セ・果樹部

 [連絡先]0978-37-1141
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・普及
 

[背景・ねらい]
日本ナシ「新高」は、みつ症が発生しやすく、年によって多発するため大きな問題となっている。そこで、その発生要因を明らかにし、発生防止技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「新高」のみつ症発生には、8月以降の土壌乾燥と高温が影響し、8〜9月の適度な潅水は、みつ症を軽減させる効果がある(表1)。

  2. 9月の1か月間の遮光資材による被覆は、みつ症の発生を軽減させることができ、22%程度の遮光であれば果実品質への影響も少ない(表2)。

  3. 交配後20日目のパラフィン一重小袋かけは、みつ症の発生を軽減できる(表3)。

  4. 複合カルシウム剤散布は、満開後10日目から10日間隔で5回、さらに満開後100日目から10日間隔で5回行うことにより、みつ症の発生を軽減できる(図1)。

  5. みつ症の多発が予想される年は、未発生の9月上〜中旬に樹冠外周部の食味良好な大玉果を収穫し、除袋せずに摂氏5度貯蔵することにより、食味等品質にほとんど問題なく、収穫から約1か月後まで出荷可能である(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 8〜9月の潅水が過度になると、ていあ部の亀裂発生を助長する可能性があるので注意する。

  2. 資材による遮光処理は、遮光率22%以上になると果実品質が低下するので注意する。

  3. カルシウム剤散布の効果は樹、年次により差があり、とくに多発条件では効果が十分でないので土壌改良、潅水などの基本的管理を徹底する。

[具体的データ]

表1 「新高」樹の夏季潅水及びマルチ処理とみつ症発生(1998熊本農研セ)


表2 「新高」樹の遮光処理とみつ症発生(2000高知農技セ)


表3 「新高」果実への小袋かけとみつ症発生(2000佐賀果試)


図1 「新高」樹へのカルシウム剤散布とみつ症発生(2000大分農技セ)

[その他]
研究課題名:西南暖地の特性を活かした晩生ナシの超高収益栽培技術の開発
予算区分 :助成試験(地域重要新技術)
研究期間 :1997〜2001年度

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