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植物成長調節剤利用による加工用パインアップル収穫の省力化


[要約]
パインアップル果実に植物成長調節剤(エスレル)を散布することによって、収穫回数を減少させることができ、省力化が図られる。

[キーワード]
加工用パインアップル、植物成長調節剤、エスレル、収穫回数、省力化

[担当]
沖縄農試・名護支場・パイン研究室

[連絡先]0980-52-0052 [区分]九州沖縄農業・果樹 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
パインアップルの栽培は1年の中で夏期に植え付けや収穫などの重労働が集中し、その中でも収穫作業が約4割を占めている。パインアップルの自然夏実は圃場全体でみると出蕾期間が長く、それに伴って収穫期間が長くなり、収穫に約15回程度圃場に入る必要がある。そこで植物成長調節剤のエスレル(エテホン(2-クロルエチルホスホン酸)10%)を用いて、生食・加工兼用品種「N67-10」の自然夏実と秋実における収穫期間および収穫回数の短縮を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 全収穫果実の約5%程度が着色し始めた時点に冠芽を中心にエスレルの濃度800倍、1果実あたり25mlを目安に散布することによって収穫期の前進化が認められ、2回で90%以上の果実を収穫することができる。(図1)。

  2. エスレルの散布によって果皮の着色が促進されるため、果皮が70%以上着色した時点で収穫した方がよい(図2)。

  3. エスレル単用区では酸度の上昇が認められたが、カルシウム剤(パフォームCa400倍)を混用散布することによって品質の低下を軽減することができる(図3)。

  4. 秋実を収穫した後、缶詰にした結果、内容固形物の品質、品位ともにエスレル散布果実と無処理果実との間に変化は見られなかった(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「N67-10」の加工用原料に適用され、果皮色が70%以上着色した時点で収穫する。

  2. エスレル単用では品質の低下を招くおそれがある。

[具体的データ]

図1 エスレルの濃度別収穫割合


図2 果皮色別酸度の変化


図3 カルシウム剤の混用による品質の変化


表1 パインアップル缶詰の品質・品位検査

[その他]
研究課題名:パインアップルの低コスト栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000年度

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