施設栽培ビワ「長崎早生」における高収量樹の樹体構成
-
[要約]
-
施設栽培のビワ「長崎早生」の2段盃状形において、10a当たり収量1.5t程度を生産する樹の樹体構成は、樹冠占有面積当たりの葉面積指数が2.9以上で、葉数が約409枚、枝数が約43本、袋掛け数が約19袋で、袋掛け枝率が43%程度である。
- [キーワード]
- 施設栽培、長崎早生、2段盃状形、収量、葉面積指数
- [担当]
- 長崎果樹試・常緑果樹科
[連絡先]0957-55-8740
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
ビワ「長崎早生」の施設栽培では、10a当たり収量が低いことが問題となっており、生産者の収益向上を図るために、連年安定して単収1.5t以上を生産している樹の樹体構成を明らかにし、多収生産技術のマニュアル作成の資料とする。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
樹冠占有面積当たり収量と葉面積指数(樹冠占有面積当たりの葉面積)、葉数、袋掛け数及び枝数との単相関(直線回帰)を求めると、収量と葉面積指数との間に高い相関関係がみられる(表1)。
-
収量と葉面積指数との関係は、2次曲線回帰では相関係数がr=0.869と高い。樹冠占有率を80%と想定し、10a当たり収量を換算して、葉面積指数と樹冠占有面積当たり収量との関係式から単収1.5t以上生産する樹体の葉面積指数を求めると、2.9以上となる(図1)。
-
10a当たり1.5t程度を生産する樹の樹体構成は、樹冠占有面積当たりの葉数は約409枚、枝数は約43本、袋掛け数は約19袋で、袋掛け枝率(全枝数に対して着房させる枝の割合)は43%程度となる(表2)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
樹冠容積を同じ条件にし、調査点数を増やすことで、高収量樹の樹体構成がさらに明らかになる。
-
2段盃状形を対象とした成果であるので、樹形が異なる場合は留意する。
-
[具体的データ]
-

表1 樹冠占有面積当たりの収量と樹体構成との相関関係(直線回帰)

図1 樹冠占有面積当たりの葉面積指数と収量との関係(2次曲線回帰)

表2 10a当たり1.5t以上を生産する高収量樹の樹体構成
-
[その他]
-
研究課題名:施設ビワ園の多収要因の解明による1.5t多収技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2001年度
目次へ戻る