露地栽培温州ミカン「興津早生」の切り枝水挿し法による着花数予測
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[要約]
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露地栽培の温州ミカン「興津早生」では、2月中旬に結果母枝を採取して水挿しを行うと、2月下旬には着花数が確認できる。切り枝水挿し法と立木の結果母枝における着花数には正の高い相関が認められる。
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- 温州ミカン、興津早生、結果母枝、切り枝水挿し、着花数
- [担当]
- 福岡農総試園研・果樹部・常緑果樹研究室
[連絡先]092-922-4946
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年、温州ミカンは隔年結果が著しくなり、生産現場では休眠期に着花数を予測して、早い時期から着果安定のための技術対策を講じることが課題となっている。着花数は、前年の新梢数や着果負担との関係が深いことが明らかにされているが、着花数を簡易に予測するためには結果母枝の着花数を直接確認することが有効である。そこで、既にハウスミカンで実用化している結果母枝の切り枝水挿しによる着花数予測法について、露地栽培の温州ミカン「興津早生」での適応性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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「興津早生」の結果母枝を2月中旬に採取して、葉を除去、先端3芽を残して他の芽を削除後、BA液剤300倍に10秒浸漬し、摂氏28度恒温器内に水挿しした切り枝は、処理開始から10〜14日後までに発芽し、2月下旬には着花数が確認できる(データ略)。
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結果母枝1本当たりの着花数は、切り枝の着花数が多い場合には立木の着花数も多く、両者に正の高い相関が認められる(表1、図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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露地栽培の温州ミカン「興津早生」の着花数予測法として活用できる。
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結果母枝の切り枝水挿し時期が早くなると発芽率は低くなるので2月中旬以降に行う。1樹当たり結果母枝は10本程度を調査し、信頼度を高める。
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[具体的データ]
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表1 露地栽培「興津早生」の切り枝と立木における結果母枝1本当たりの着花数、新梢数及び発芽節率(1998〜2001年)

図1 「興津早生」における切り枝と立木の結果母枝1本当たりの着花数(1998〜2001年)
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[その他]
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研究課題名:カンキツの生育診断・予測と対応技術
予算区分 :経常
研究期間 :1996〜2001年度
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