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ヒリュウ台利用による温州ミカンの糖度上昇効果と樹体の生理的特性


[要約]
温州ミカン「今村9号」にヒリュウ台を用いると、カラタチ台よりみかけの光合成速度が低下するが、葉の水ポテンシャルが低下し、とくに日中の樹体の水分ストレスが大きくなって糖含量が増加し、カラタチ台樹で透湿性シートマルチ処理した場合と同程度の糖度上昇効果が得られる。

[キーワード]
温州ミカン、今村9号、ヒリュウ台、糖度、水分ストレス

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・常緑果樹研究室

 [連絡先]092-922-4946
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・参考
 

[背景・ねらい]
温州ミカンの台木にヒリュウを用いると、果実の糖度が上昇して品質が向上するが、糖が増加する際のメカニズムなど樹体の生理的特性には不明な点が多い。そこで、ヒリュウ台温州ミカンの品質向上技術を確立するため、「今村9号」を用いて糖度上昇効果の特徴や樹体の生理的特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「今村9号」の台木にヒリュウを用いると、カラタチ台樹で透湿性シートマルチ処理した場合と同程度の糖度上昇効果が得られる(表1)。

  2. ヒリュウ台樹はカラタチ台樹に比べて果汁の糖含量が多くなり、とくにショ糖含量が増加して全糖に占めるショ糖の割合も高まる(表2)。

  3. ヒリュウ台樹の葉面積と葉色はカラタチ台樹と大差ないが、みかけの光合成速度が低下するとともに蒸散量が減少し、細根の呼吸速度も遅くなる(表3)。

  4. ヒリュウ台樹はカラタチ台樹に比べて葉の水ポテンシャルが低下しやすく、とくに日中の樹体の水分ストレスが大きくなる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ヒリュウ台温州ミカンの品質向上のための参考資料として活用できる。

[具体的データ]

表1 ヒリュウ台およびカラタチ台「今村9号」のマルチ処理による品質向上効果の比較(1999年)


表2 ヒリュウ台「今村9号」の果汁の糖含量・糖組成比の特徴(2000〜2001年)


表3 ヒリュウ台「今村9号」の葉および根の生理的特性(2000年)


表4 ヒリュウ台「今村9号」の葉の水ポテンシャルの日変化(2000年)

[その他]
研究課題名:ヒリュウ台での早期成園化と栽培技術の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度

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