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ハウス栽培のカンキツ「天草」における夏秋期の水分制御による品質向上


[要約]
ハウス栽培された「天草」は、夏秋期の降雨時に天井ビニルを適宜開閉して水分制御することで、樹体へ安定した水分ストレスが付与され、糖度の高い果実生産ができる。

[キーワード]
ハウス、天草、夏秋期、水分制御、土壌水分、糖度

[担当]
佐賀果樹試・常緑果樹研究室

 [連絡先]0952-73-2275
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・参考
 

[背景・ねらい]
カンキツ新品種の「天草」を始め一般の中晩生カンキツのハウス栽培では、梅雨明け以降には高温抑制と台風被害回避を目的として、天井ビニルを除去する場合が多いため、水分制御が難しくなり、果実品質が不安定になっている。そこで、「天草」における夏秋期の天井ビニル管理法の改善により、果実品質の向上を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. ハウス栽培「天草」において、梅雨明け後に天井ビニルを開閉することにより過剰な降雨を適宜遮断し、必要に応じてかん水を行うことで、土壌水分状態を安定して維持できる。これに対し、夏秋期にビニルを開放すると、土壌水分は降雨の影響を受けて大きく変動する(図1)。

  2. 処理期間中の葉の水ポテンシャルは、適宜ビニルを開閉することで安定して低く推移する(図2)。

  3. 適宜ビニルを開閉し降雨を遮断することで、糖度は高く推移し収穫時の糖度も高くなる。また、果実の肥大、減酸等のその他の果実品質への影響は少ない(図3表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夏秋期の降雨は全て遮断する必要はなく、必要かん水量程度の降雨がハウス内へ流入しても果実品質への影響は少ない。

  2. フルオープンハウスの施設を導入すると簡易に天井ビニルが開閉できる。

  3. フルオープンハウス施設がない場合には、天井ビニルを周年被覆することで糖度を高く維持できるが、日中の高温抑制や適度なかん水を行う等の対策を講じ、樹勢の低下や減酸の悪化を防止する。

[具体的データ]

図1 夏秋期の降雨制御による土壌pF値の推移


図2 葉の水ポテンシャルの推移


図3 糖度、クエン酸の推移


表1 被覆ビニル管理の違いが「天草」の果実品質に及ぼす影響(2001.11.30)

[その他]
研究課題名:新中晩生カンキツの施設利用による高品質安定生産技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術地域実用化)
研究期間 :1999〜2001年度

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