極早生温州ミカン「岩崎早生」の品質に及ぼす降水量の影響
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[要約]
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極早生温州ミカン「岩崎早生」の8月10日時点の糖度は6〜7月の降水量と負の相関が高く、特に、6月の降水量との相関が高い。9月10日までの約1ヶ月間のクエン酸減量は、8月中下旬の降水量と高い正の相関を示す。
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- 極早生温州、糖度、降水量、クエン酸
- [担当]
- 長崎総農林試・経営部・経営科
[連絡先]0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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ミカンなどの果樹園データと非破壊選果機による選果データを活用した産地再編・強化及び農業経営の改善を図るため、これらデータの有効な活用法を明らかにする。特に、極早生ミカンに関して、降水量が糖酸などの品質に及ぼす影響を、JAことのうみ伊木力支所による定点調査結果(1989〜2000年)から分析した。
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[成果の内容・特徴]
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糖度の推移は、年次間格差が大きく、収穫期の糖度は8月10日調査時点の糖度に影響される。8月10日時点までの糖形成要因の解明が必要である(図1)。
- 8月10日の糖度は、6〜7月の降水量と負の相関がみられる。一次回帰式では、6〜7月の降水量がR2=0.711、6月の降水量がR2=0.584、7月の降水量がR2=0.488であり、6月の降水量との相関が高い(図2)。なお、6月と7月の降水量を要因とした重回帰式でも、R2=0.78〔Y=11.1389-0.00519X1(6月降水量)-0.00165X2(7月降水量)〕となり、6月の降水量との有意差がみられる。
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クエン酸の推移は、年次間格差があるものの、収穫期に向かって減少するにつれ格差は少なくなる。全般に8〜10月の降水量が多い年は、収穫期のクエン酸が低い。クエン酸の減少程度(傾き)は、9月20日頃まで大きく、以降は緩やかにすすむ(図3)。
- 年次平均クエン酸の推移は、高い相関の二次回帰式〔Y=3.689-0.6769X+4.128・10-2X2 R2=0.998〕で表せる。また、クエン酸が1.0以下になるのは10月10日以降で、この場合、9月10日頃にクエン酸が1.5程度となっている必要がある。
- 9月10日までの約1ヶ月間のクエン酸減量と8月中下旬の降水量は、R2=0.7程度の高い正の相関を示す(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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他の地域では、その地域の土壌・降水量等をふまえ、別途分析する必要がある。
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[具体的データ]
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図1 岩崎早生の年次別糖度の推移

図2 岩崎早生の8/10糖度と6〜7月降水量の関係

図3 岩崎早生の年次別クエン酸推移

図4 岩崎早生の8/20〜9/10クエン酸減量と8月中下旬降水量
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[その他]
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研究課題名:温州ミカンの品質保証果実の少資材・低コスト生産体系の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度
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