受粉用ヒュウガナツの倍数性調査と優良個体の選抜
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[要約]
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受粉用ヒュウガナツは完全な4倍体ではなく、2x,4xの周縁部分キメラで樹齢の進行とともに2倍体への先祖戻りが見られる。少核果生産の受粉樹として先祖戻りの少ない5個体が有望である。
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- ヒュウガナツ、少核果、受粉、キメラ、先祖戻り
- [担当]
- 宮崎県総合農業試験場・亜熱帯作物支場
[連絡先]0987-64-0012
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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ヒュウガナツの安定生産には受粉が必要で、現在では少核果生産を目的としてナツミカンの4倍体花粉が用いられている。本県で探索した枝変わりヒュウガナツは蕾や葉の特性、花粉母細胞の染色体数により、4倍体ヒュウガナツと判断し、受粉樹として活用されていた。しかし、最近、着果率が極めて悪くなり、殆ど受粉樹として使われていない。そこで、この系統の倍数性を調査し、少核果生産に適した優良個体を選抜する。
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[成果の内容・特徴]
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原木の葉は9亜主枝中、4xキメラは1枝のみで他の亜主枝は2倍体である。花粉は9枝中、6枝で4xキメラを呈する(表1)。
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原木から採穂して高接した樹や複生苗は、4xキメラを示す個体と2倍体の個体があり、13年生以降の高樹齢ほど2倍体が多い(表2-1〜3)。
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キメラ率の高い亜主枝や3年生複生苗の花粉による受粉で、着果率が61.1〜77.8%とナツミカン4倍体の74.4%とほぼ同等で「西内小夏」や「白鳥日向」より高い(表3)。
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3カ年の調査で安定した4xキメラ(葉、維管束、花粉が2x,4xのキメラ)を持つ個体として、原木No9亜主枝、支場母樹No6,No8亜主枝、清武佐藤ハウス受粉樹No3,No4樹(10年生)の5個体を選抜した。
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[成果の活用面・留意点]
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今後、先祖戻りの可能性もあり継続的な検討が必要である。
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短果枝や節間が短い緑枝の多い亜主枝で2倍体の傾向がある。
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[具体的データ]
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表1 原木亜主枝単位毎の倍数性(葉部:’99/8/19,花粉:’00/5/4)

表2-(1)支場枝変わり系統葉の倍数性(’99/7/9)
表2-(2)支場母樹の亜主枝毎花粉の倍数性(’00/5/4)
表2-(3)清武町佐藤ハウス受粉樹(花粉)の倍数性(’01/4/18)

表3 花粉の種類と着果率等
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[その他]
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研究課題名:ブランド創出を目指した種なしヒュウガナツ等の新栽培法構築
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2003年度
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