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土壌乾燥によるハウスミカンの着花促進


[要約]
早生温州のハウス栽培において、8月に透湿性シートをマルチし、秋季にpF3以上に土壌を乾燥させることにより花芽分化が促進され、加温後の着花が増加する。

[キーワード]
ハウスミカン、花芽分化、透湿性シート

[担当]
鹿児島果樹試・栽培研究室

 [連絡先]0994-32-0179
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・参考
 

[背景・ねらい]
鹿児島県のハウスミカンの出荷期は7〜8月に集中しているが、今後、有利販売と労力分散による経営安定を図るためには、出荷期の前進化が必要である。一方、近年、花芽分化期に当たる9〜11月の気温が高めに推移していることから、加温開始の遅れや加温後の着花不足が問題となっている。出荷時期の拡大や連年安定した生産を行うためには、花芽分化を促進し着花を安定させる技術の確立が求められている。

[成果の内容・特徴]
  1. 加温ハウス栽培「高林早生」、「宮川早生」(高さ35cm、幅2mの高うね栽培、下部は幅1.5mの防根シートで直根遮断)において、夏葉が硬化する8月から透湿性シートをマルチすることにより秋季の土壌乾燥が進み、加温開始時期にマルチを除去するまで土壌水分はpF3以上で維持される(図1)。

  2. 土壌乾燥によりハウスミカンの花芽分化が促進され、加温前の枝挿しでの着蕾率が高くなり、加温後の着花量も多くなる(表2表3)。

  3. 部分マルチでは土壌乾燥が安定せず着花促進効果も劣るため、マルチの方法は全面マルチがよい。(図1表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. マルチ後は無かん水とするが、樹勢に注意し、葉のしおれの程度によっては少量かん水する。

  2. 灰色台地土の高うね栽培で実施した結果であり、有効土層の比較的浅いほ場では同等の効果が得られると考えられる。

[具体的データ]

図1 土壌水分の推移(1998年、宮川早生)


表1 栽培経過


表2 着花状況(高林早生)


表3 着花状況(宮川早生)

[その他]
予算課題名:ハウスミカンの高商品性、高生産性技術体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1994〜2000年

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