タンカン「垂水1号」における黄化落葉症(仮称)の発生実態
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[要約]
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タンカン「垂水1号」の黄化落葉症(仮称、以下略)は、葉の中ろくに続いて葉身全体が黄化、落葉する障害であり、前年の着果量が多く、かつ当年の着果量が少ない樹で発生が多い傾向である。
- [キーワード]
- タンカン、黄化落葉症
- [担当]
- 鹿児島果樹試・化学研究室
[連絡先]0994-32-0179
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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黄化落葉症は、平成6年から県内のカラタチ台タンカン「垂水1号」で問題になり始めた。県本土南部から大島地域に至るタンカン産地全域で発生し、葉の黄化及び落葉、さらに主枝あるいは樹全体の枯死を伴なう障害で、生産を著しく不安定にしている。そこで、本症の発生要因を明らかにするため、平成10年から12年にかけて県下17市町村24か所の定点ほ場において、発生実態を調査した。
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[成果の内容・特徴]
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葉の黄化は、必ず中ろくから始まり、葉身の先端から基部に向かって進展する。主枝を単位として発生し、発生樹では細根量が極端に減少している。
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平成10年には多発したが、平成11、12年は2年連続して発生が少ない(表1)。
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当年の着果量が少ない樹で発生する割合が高い(表1)。
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前年の着果量が多く、当年の着果量が少ない樹では発生が多い傾向である。前年の着果量が少ない樹で発生する場合は、ほとんどが連続して着果量が少ない樹である(表2)。
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黄化した葉では窒素含量が少ない傾向であるが、窒素欠乏が原因とはいえず、(表3)、他の無機成分含量にも差が認められない(データ略)。
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[成果の活用面・留意点]
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新梢の発生が少ない樹で発生が多い傾向が観察されている。
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発生防止策は、過度の着果負担をかけないことが重要と考えられる。
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[具体的データ]
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表1 黄化落葉症の年次別及び当年の着果量別発生状況(平成10〜12年)

表2 前年の着果量と黄化落葉症の発生(本、%)

表3 黄化落葉症が発生した樹の葉中窒素含量(%)
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[その他]
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予算課題名:不知火、タンカンの樹勢強化、高品質安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2002年
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